東芝株主総会 企業統治への不信が極まった

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 東芝の経営監視体制に対し、多くの株主が不信任を突きつけた。東芝は企業統治の不全を深刻に受け止め、早期に改革の具体策を示すべきだ。

 東芝の株主総会で、永山治・取締役会議長と小林伸行・監査委員を社外取締役に再任する案が、反対多数で否決された。

 取締役会議長は、経営監視の要だ。その選任に関する会社側の提案が認められないのは、極めて異例のことである。永山氏は、経営トップの選任を主導する役割なども担っていた。再任案の否決で、経営の混乱は避けられまい。

 綱川智・社長最高経営責任者(CEO)が暫定的に取締役会議長を兼務するが、早急に社外から後任を選ぶことが不可欠だ。

 昨年7月の株主総会の運営が否決の要因となった。今月10日に公表された外部調査の報告書は、東芝と経済産業省が一体となって、海外ファンドに株主提案の取り下げや議決権行使の見送りを働きかけていたと指摘した。

 ところが、東芝が2月にまとめた社内調査の報告書は、株主に対する不当な干渉はなかったと結論づけていた。多くの株主は、永山氏と小林氏が監視の責務を果たさなかったと判断したのだろう。

 東芝は2003年、社外の目を取り入れて経営の監督と執行を明確に分ける体制に移行し、統治改革の先進企業とみられていたが、15年に会計不祥事が発覚した。

 統治改革は、形だけ整えても意味がない。東芝は昨年の株主総会の運営について、改めて外部の第三者を加えて調査するという。事実関係の究明とともに、再発防止に向けた改革に一から取り組まなければならない。

 株主と 真摯しんし に向き合う姿勢も重要だ。東芝は17年に、米国の原子力発電事業の巨額損失で債務超過に陥り、穴埋めのため6000億円の増資を行った。その多くは、経営改革を迫る「物言う株主」らが引き受け手となった。

 そうした株主から厳しい注文を浴びることは、当時から予想できたはずだ。理解を得るために、説得力のある企業価値の向上策を提示していくことが筋である。

 それにもかかわらず、東芝幹部は株主の要求をかわそうと、経産省を頼ったという。統治改革を ないがし ろにしたと言わざるを得ない。

 今後も、株主との対話は困難が予想される。東芝は太陽光や風力などの再生可能エネルギー事業を柱に据える計画だ。有望な分野を見極めつつ、株主が納得する成長戦略を描き直してほしい。

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2157019 0 社説 2021/06/26 05:00:00 2021/06/26 05:00:00

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