読売新聞オンライン

メニュー

三菱電機不正 新たな経営体制で膿出し切れ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 品質の検査を巡る不正はこれまでも頻発していた。それをまたも繰り返す企業風土には、あきれるほかない。

 三菱電機が、長崎製作所で製造している鉄道車両向け空調設備の検査で、不正を行っていたことが明らかになった。納入先の鉄道会社と取り決めた検査の一部を行わず、架空のデータを記入していたとしている。

 不正は30年以上続いていたほか、数値を偽装するプログラムまで作っていたという。組織的な行為であり、極めて悪質だ。

 車両のブレーキや扉の開閉に使う空気圧縮機の検査でも、機種が更新される際に試験をせず、過去のデータを使っていた。こちらも約15年に及んでいたという。

 杉山武史社長は記者会見で、引責辞任すると表明した。新たな経営体制で、再発防止に向けた改革に取り組むことが不可欠だ。

 外部の弁護士を含む調査委員会を設けた。なぜこのような事案が長年にわたり見過ごされてきたのか。その背景を含め、不正の原因究明を急いでほしい。

 三菱電機は、鉄道向け空調設備などで国内トップクラスのメーカーである。効率優先で品質を軽視したとすれば、責任は重大だ。

 ブレーキや扉は車両の安全にかかわる。三菱電機は「安全、機能、性能には問題がない」としているが、その根拠を丁寧に説明するべきだ。所管官庁である国土交通省と経済産業省も、安全性の再確認に最善を尽くしてもらいたい。

 三菱電機では、2018年に子会社のゴム製品の検査でデータの 捏造ねつぞう が明るみに出て以降、問題事例が次々に起き、その都度、再発防止の徹底を約束していた。

 自動車メーカーなどで不正検査が続発した16~17年度と、18~19年度に合わせて3回の社内点検を実施していたが、今回の事案について不正の報告はなかった。自浄能力の欠如は明らかだ。

 その要因を検証し、 うみ を出し切ることが重要である。

 社外取締役には、元外務次官や元検事総長が名を連ねている。どうして取締役会の監視機能が十分に働かなかったのか。

 事業部門の独立性の強さが、長期にわたり不正を見過ごした原因だとの指摘もある。企業統治と企業風土の抜本改革が必須だ。

 不正は6月中旬に判明したが、29日の定時株主総会では説明しなかった。記者会見を開いたのは7月2日になってからだ。説明に消極的な姿勢では、信頼回復は遠いと肝に銘じなければならない。

無断転載・複製を禁じます
2175670 0 社説 2021/07/03 05:00:00 2021/07/03 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)