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熱海の土石流 盛り土との関連を解明せよ

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 静岡県熱海市の土石流は、最上流付近にあった「盛り土」が被害を拡大させたとみられている。斜面崩落との因果関係を解明し、今後の対策に生かさなければならない。

 土石流は、全長約2キロに及び、上流の砂防ダムを乗り越え、幅100メートル以上にわたって下流の住宅街をのみ込んだ。120棟を超える住宅などが被災し、多くの人が今も安否不明になっている。

 土石流の起点となった山の斜面には、5万立方メートルの盛り土があった。業者が過去に建設残土を搬入したものだという。土石流の規模は10万立方メートルとされており、県は「被害を甚大化させたと推定される」と指摘している。

 盛り土は、元の斜面との間に雨水が流れ、崩落しやすい。今回は最初に崩れて、大規模な土石流の引き金になった可能性もある。排水対策などは十分だったのか、徹底した調査が必要だ。

 宅地開発に伴う盛り土は、宅地造成等規制法で安全対策が定められているが、熱海市のケースは宅地ではなかったため、規制の対象外だった。制度は現状のままでいいのか、再点検したい。

 周辺には、太陽光パネルが設置され、宅地開発も進んでいる。樹木を伐採すれば土の保水力は低下する。山林開発の影響についても検証を進めてもらいたい。

 搬入された残土の崩落事故は、各地で起きている。

 国土交通省によると、2001~14年に大阪府や山梨県など11府県で14件発生し、死者も出ている。山林や空き地に残土を不法投棄する業者も後を絶たず、監視が行き届かないのが実情だ。

 赤羽国交相は、全国の盛り土を総点検する考えを示した。盛り土自体の危険性だけでなく、土石流を引き起こすリスクについても評価すべきだろう。

 今回の土石流災害では、県と市が、所在の確認できない64人の氏名を公表した。被災地は、別荘として使われている家屋も多く、行方不明者の安否確認に手間取ったためだ。公表の結果、40人以上の所在が確認できたという。

 適切な情報公開が、迅速な安否確認につながったと言えよう。

 近年、自然災害では個人情報保護や家族の同意が得られないといった理由で、死者や行方不明者の氏名を伏せ、人数だけを発表する自治体が目立っている。

 しかし、氏名の公表は、一刻を争う中で、捜索範囲の絞り込みに役立つ。自治体は今後、積極的な公表を原則とすべきだ。

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2185274 0 社説 2021/07/07 05:00:00 2021/07/07 05:00:00

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