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ワクチン接種 要介護者への目配りを十分に

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 新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種が進んでいる。政府や自治体は、介護を要する人にも十分に目配りしてもらいたい。

 政府は、希望する高齢者へのワクチン接種を今月末までに終えるという目標を掲げている。1回目を受けた高齢者は8割、2回目は5割を超えているという。

 しかし、お年寄りの中には、寝たきりなどで外出が難しい人もいる。介助なしで暮らすことが難しく、介護保険サービスを使って自宅で生活する要介護4と5の人は、約50万人に上っている。

 市町村が設ける集団接種会場や病院などに、公共交通機関や自家用車で行くことが困難な人は少なくない。こうした人たちには、かかりつけ医が自宅を訪問して接種する取り組みが広がっている。

 ただ、米ファイザー製のワクチンは、解凍・希釈してから6時間以内に使い切る必要があるなど、取り扱いが難しい。

 1瓶で6回分接種できるが、余った分の廃棄を避けるため、複数の高齢者宅を回らなければならず、スケジュール調整が大変だといった声も聞かれる。

 医師側には、通常診療への影響を懸念し、訪問接種をためらうケースもあるという。かかりつけ医任せには限界があるだろう。

 課題の解決に乗り出している自治体もある。

 神戸市は、外出が困難で、かかりつけ医の訪問接種も受けられない寝たきりの高齢者らのために、市立病院の医師と看護師ら3人による巡回接種チームを設けた。

 市がケアマネジャーを通して対象者を絞り込み、日程を調整してチームを派遣している。集団接種と組み合わせてワクチンを余らせないようにしつつ、1日3戸ほど巡回しており、さらにチームを増やしたいという。

 各自治体は、こうした例を参考に、医師会などと連携して接種の促進に知恵を絞ってほしい。

 介護事業所などを通して、支援を要する人の状況を把握したうえで、地域の実情を踏まえ、どのような形で接種できるか検討することが望ましい。

 ひとり暮らしの高齢者や、認知症の人もいる。自治体は、予約の手続きなどができずに困っている人がいないか確認したい。周囲が丁寧に対応し、本人の意思をくみ取る努力が不可欠である。

 家族やヘルパーなど、高齢者と接する機会の多い人への接種を着実に進め、高齢者の感染リスクを抑え込むことも重要だ。

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2216977 0 社説 2021/07/19 05:00:00 2021/07/19 05:00:00

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