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中露の強権統治 国連を自己正当化に使うとは

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 強権統治を続ける中国とロシアが、国連を使って民主主義国に対抗する姿勢を強めている。国際協調の土台とすべき場を自己正当化の道具にすることは許されない。

 中露の両首脳が、今月に締結20年を迎えた善隣友好協力条約の延長を決めた。共同声明は、現在の中露関係を「歴史上、最高水準にある」と評価し、宇宙や原子力、北極海航路など、新分野での協力拡大を打ち出した。

 中露には、歴史的対立に根ざした相互不信がある。それでも緊密な連携をアピールしているのは、米欧が両国の威圧的な軍事行動や人権弾圧に制裁圧力をかけていることに対抗する狙いがあろう。

 中露は、「人権問題の政治化」「内政干渉」と反論している。共同声明でも、「国際法の原則と国連憲章に反する一方的な強制的措置に反対する」と主張し、国連重視を盾に米欧をけん制した。

 国連では中露に同調する勢力が増えている。国連憲章の尊重を名目とする有志国グループには、北朝鮮やシリア、ベラルーシなど人権状況が劣悪な国が参加した。

 6月の国連人権理事会では、日米欧など44か国が中国の人権問題に懸念を示す一方、ロシアなど64か国・地域は中国を擁護した。

 国連加盟国の多数を占める途上国や新興国の指導者は、先進国による内政干渉を嫌い、人権改善などの前提条件なしに経済支援に応じる中国へなびく傾向がある。

 中露がこうした事情に乗じ、国連の場を通じて、強権統治の正当化や、米国など民主主義国を中心とする国際秩序の改編を図っているのは明白である。

 中露の「国連重視」は、国連憲章にある主権尊重の原則を都合良く解釈しているにすぎない。憲章が掲げる人権や基本的自由の尊重は、中露の価値観とは真っ向から相反するものだ。

 中露が国連を主導するようになれば、世界平和と人権向上を目指す国連の理念は損なわれ、役割は変質していくだろう。

 国連安全保障理事会はすでに、機能の低下が進んでいる。拒否権を持つ常任理事国である中露の反対により、ミャンマー軍のクーデターや人権弾圧に対し、制裁などの措置を打ち出せていない。

 国連での中露の影響力が拡大した背景には、米国のトランプ前政権が国際機関や多国間外交を軽視したことが大きい。国際協調を唱えるバイデン政権は日欧と連携し、国連の存在意義を高める取り組みを強めねばならない。

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2216983 0 社説 2021/07/19 05:00:00 2021/07/19 05:00:00

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