日銀の脱炭素策 効果的な側面支援となるか

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 日本銀行が、温暖化対策に取り組む企業に対して、民間金融機関が融資や投資をしやすくなるよう後押しする資金供給策の骨子案をまとめた。

 民間金融機関に貸し付ける際の金利を0%にするという。期間は1年だが、2030年度まで借り換えを可能にして、長期的に活用できる仕組みとした。年内にも運用を始める予定だ。

 中央銀行に求められる中立性を保ちつつ、効果の高い制度とすることが重要である。

 政府は、50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指しており、脱炭素は社会全体の大きな課題となっている。日銀の資金供給は、それを側面支援する狙いがあるのだろう。

 地球温暖化は、経済全体に打撃を与える。洪水などの自然災害が頻発すれば、企業に甚大な損害をもたらす。石炭火力発電所のような二酸化炭素を多く出す設備の価値が下がって、損失を抱える企業が増えかねない。

 日銀が、温暖化をリスクとして意識することは理解できる。ただ、特定分野に肩入れすると、中央銀行の中立性を損ない、民間の経済活動をゆがめる恐れがあることに留意せねばならない。

 日銀の本来の役割は、物価と金融システムの安定と定められており、脱炭素対策は、政府の仕事だとの指摘がある。

 今回の政策を導入した理由について、日銀は、中長期的には気候変動問題が物価や金融システムにもマイナスの影響を与える可能性があるためだとしている。

 世界では、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行など、欧州を中心に金融政策で脱炭素を促そうとする中央銀行が相次ぐ一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は慎重な姿勢を崩しておらず、対応は分かれている。

 日銀は、政策の趣旨について丁寧に説明を尽くしてほしい。

 対象となる融資や投資が、脱炭素に資するものかどうかの判断は金融機関側に委ねるとしている。日銀による過度な介入への懸念に配慮したという。

 そのため、適正に使われたかどうかを点検することが必要となる。温暖化対策の強化に向けた資金需要は旺盛で、自動車業界は電気自動車の開発を加速し、鉄鋼業界は水素による製鉄法などの技術開発を進めている。

 資金供給の際、金融機関に対する十分な情報開示の要請が不可欠だ。制度がどの程度の実効性を上げたかの検証も大切となる。

スクラップは会員限定です

使い方
「社説」の最新記事一覧
2219651 0 社説 2021/07/20 05:00:00 2021/07/20 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)