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政府の財政試算 楽観的予測では健全化遠のく

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 楽観的な予測のままでは、財政健全化への正しい道筋は見えてこない。将来世代へのつけ回しを避けるため、政府は現実を直視し、改革の具体策を示さねばならない。

 内閣府は、年2回改定している中長期の財政試算を発表した。国と地方の基礎的財政収支(PB)は、政府が黒字化の目標としている2025年度に赤字が2・9兆円残り、27年度には黒字になるという見通しを立てている。

 黒字化目標の時期は、1月の段階では29年度と予想していたが、これが2年早まることになる。輸出の増加などで、20年度の国の税収が過去最高となったためだ。

 PBは政策に使う経費を借金に頼らずに、税収などでどれだけ賄えているかを表す指標である。

 20年度は、感染症対策で3度の補正予算を編成したため借金が膨らみ、PBの赤字額は56・4兆円となった。試算は赤字額が今年度以降、急速に縮小するとしているが、現実的とは言い難い。

 菅首相は「経済成長を実現し、歳出改革を続けることで25年度に黒字化を実現する姿が示された」と述べている。認識が甘いと言わざるを得ない。

 試算の前提となる経済成長率は、22年度を除いて名目で3%を超えると見込んでいる。それにより、税収が伸びるという。

 ただ、近年、経済の実力である日本の潜在成長率は1%以下に低迷している。名目3%成長が続けば、バブル期以来となる。

 試算は、目玉政策に掲げた脱炭素やデジタル化などが成長の原動力になるとしているが、推進策は緒についたばかりだ。

 22年から団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、社会保障費が増大するとみられているのに対し、抑制策は明確ではない。

 一方、与党内では次期衆院選に向け、大規模な経済対策を求める声が強まっている。楽観的な見通しが、財政規律の緩みにつながることになれば、問題は大きい。

 国と地方の長期債務残高は約1200兆円に達し、国内総生産(GDP)の2倍以上となっている。先進国で最悪の水準だ。

 PBの黒字化は、財政再建への第一歩にすぎない。それさえ具体的な実現方法を提示できないようでは、巨大な債務残高を減らすことは、かなわない。

 政府はPB黒字化の達成時期について、年度内に再検証するという。それを機に、財政状況を改めて確認し、歳入・歳出改革の方策を打ち出すことが不可欠だ。

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2256233 0 社説 2021/08/03 05:00:00 2021/08/03 05:00:00

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