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終戦の日 平和堅持へ情勢の変化直視を

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 ◆防衛体制の強化で有事避ける◆

 76回目の終戦の日を迎えた。東京・日本武道館では政府主催の全国戦没者追悼式が行われる。

 新型コロナウイルスの感染防止のため、昨年に続いて参列者の数を抑え、規模を縮小しての開催となる。

 310万人の戦没者を悼み、戦後の平和と繁栄に思いを致す意義は変わらない。日本周辺の安全保障環境が悪化する中、危機対応のあり方や有事を避ける手立てを改めて考える機会としたい。

 ◆惨禍の教訓生かしたい

 国民生活の安全を脅かすものは国家間の戦争だけではない。

 「ウイルスとの戦争」と称されるコロナ禍は約1年半に及ぶ。今も収束の兆しは見えない。この間の政府の対応は、戦後の日本が抱える構造的な課題を浮き彫りにしたと言えるだろう。

 病床や宿泊療養施設の確保に手間取り、感染者が急増するたびに医療体制の 逼迫ひっぱく が叫ばれている。ワクチンの開発や確保、接種も、他国に後れを取った。

 感染症対策や病床の拡充ではこれまでも多くの提言があった。必要な対策を講じるべきだったのに、そのための議論を おろそ かにしてきたのではないか。

 政府と自治体の連携不足やデジタル化の遅れも目立っている。

 1人10万円の特別定額給付金や休業補償で混乱が生じ、必要な人に迅速に届けられなかった。

 感染者との接触の可能性を知らせるスマートフォン用アプリは4か月も不具合が放置され、利用が一向に広がっていない。

 危機対応では現場で何が起きているのかを正確に把握し、刻々と変わる状況に機動的に対応することが重要だ。昭和の戦争で日本は学んだはずである。

 今年1月に亡くなった作家の半藤一利さんは著書「昭和史」で、当時の政治指導者や軍の幹部に「自己過信」や「底知れぬ無責任」があったと指摘していた。

 日本軍の組織上の問題点を分析した戸部良一さんらの名著「失敗の本質」も、「戦力の逐次投入」や「根拠なき楽観主義」を敗戦の要因に挙げている。

 国家の安全を確保するためにはなおさら、過去の教訓を踏まえ、同時に国際情勢の変化を冷静に見極めることが大事だ。

 ◆中国の脅威に備えよ

 戦後の日本は、日米同盟を基軸に自由主義陣営の一員として歩んできた。1991年のソ連崩壊で自由主義の勝利が 喧伝けんでん されたが、30年後の今、日本を取り巻く情勢は厳しさを増している。

 最大の要因は、覇権主義的な行動を強める中国だ。沖縄県・尖閣諸島周辺や南シナ海で一方的な現状変更を試み、香港の「一国二制度」を形骸化させている。

 特に懸念されるのは、力による台湾統一も辞さない姿勢を示していることだ。台湾海峡での有事は日本にも甚大な影響が及ぶ。

 米国は同盟国や友好国と連携して中国と 対峙たいじ する構えだ。台湾への侵攻が可能だと中国が誤解することがないよう、日本は米国との同盟を強化し、確固とした抑止力を構築する必要がある。

 ロシアも北方領土に関して一方的な行動を強めている。ウクライナのクリミア半島を併合したような「力による現状変更」を決して容認してはならない。

 北朝鮮の核・ミサイルの脅威への対処も問われている。

 国の安全保障に「想定外」は許されない。脅威を直視し、有事に的確に対応できる体制の整備について議論を深めるべきだ。そうした努力が、結果的に有事を未然に防ぐ道となる。

 東京五輪が閉幕し、24日からはパラリンピックが始まる。コロナ禍を乗り越えての開催は、日本に対する国際的な信頼の向上にもつながるだろう。

 ◆国際社会へ発信を強化

 冬季も含め4度の五輪開催は、戦後の日本の民主主義と平和の歩みを象徴していると言える。

 一部の近隣国がこの事実からあえて目をそらし、歴史認識に関わる問題で反日的な宣伝を続けているのは遺憾の極みだ。

 日韓関係は元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)や元慰安婦を巡る問題で冷え込んだままだ。

 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)では今年、歴史的文書の保存・活用を目的とする「世界の記憶」で、政治利用に歯止めをかける改革が実現した。日本が主導し、韓国や中国が反日宣伝に悪用する余地が大幅に狭まった。

 歴史や領土を巡る身勝手な言動には適切に反論し、日本の立場を国際社会に積極的に発信していくことが重要である。

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2285866 0 社説 2021/08/15 05:00:00 2021/08/15 05:00:00

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