農水産物輸出 ニーズ捉えて拡大加速したい

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 日本の農林水産物や食品の輸出が好調だ。今年1~6月の輸出額は前年より約3割多い5773億円で、上半期としては過去最高となった。

 官民一体で、生産基盤の強化や販路の拡大に取り組み、この流れをさらに加速させたい。

 新型コロナウイルスの流行により、海外でも家庭で食事を楽しむ人が増えた。そうした「巣ごもり需要」を取り込み、米国や中国などでの販売が伸びたという。牛肉や日本酒が特に人気だった。

 輸出額は、政府が2019年の目標としながら達成できなかった年1兆円が視野に入ってきた。海外のニーズの変化を的確に捉えたことが効果を上げたと言える。

 和牛などの牛肉は、輸出業者が米国で家庭向けに薄切りカットする工夫を加えたところ、前年と比べて2・2倍に増えた。

 コロナ禍で旅行ができない中でも日本の味を求める人は多く、中国を中心に、国境を越えた農水産物・食品のインターネット販売が増加した。それに伴い、日本酒は前年の2倍近く売れたという。

 東京五輪では、女子ソフトボール会場の福島県に滞在した海外の選手団から、福島産のモモを称賛する声が相次いだ。パラリンピックなどでも、質の高い日本の食品をPRすることが大切だ。

 日本の農林水産物・食品の輸出額は、伸びているとはいえ、生産額に占める比率は2%程度にとどまっており、米仏などの主要先進国と比べて低い。

 「和食ブーム」の中で日本産品は高く評価されており、輸出を増やす余地は大きいはずだ。

 日本は従来、主に国内向けに作物をつくり、余剰分を輸出してきたが、政府は昨年11月にまとめた輸出戦略で、海外向け産品の生産に力を入れる方針に転換した。

 牛肉、コメ、日本酒やリンゴなど27品目を重点品目とし、約1300の産地・事業者を選んで支援していくという。

 農林水産業は中小零細の業者が多く、個々に対応することは難しい。行政や産地が一体となることが不可欠だ。海外事情に詳しい民間人材を商社などから産地に紹介する仕組みを機能させたい。

 港湾や空港の近くに冷蔵・冷凍倉庫を増やし、物流コストを下げることが重要となる。

 知的財産権の保護も徹底すべきだ。国の機関が開発した高級ブドウ「シャインマスカット」の苗木が、中国や韓国に流出した被害例がある。和牛の遺伝資源の管理も課題で、監視を強めてほしい。

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2309011 0 社説 2021/08/24 05:00:00 2021/08/24 05:00:00

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