アフガンでテロ 退避の混乱を突いた蛮行だ

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 アフガニスタンの政権崩壊による混乱の隙を狙った卑劣な犯行である。まずは首都カブールの警備態勢を強化し、外国人らの安全な退避を進めることが不可欠だ。

 カブールの空港周辺で自爆テロと銃撃事件が起き、米兵を含む多数の死傷者が出た。

 出国を希望する人々が集まり、米兵が保安検査を行っているところに、テロリストが入り込んで自爆したという。米兵やアフガン人に対する発砲もあった。

 過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出した。アフガンの実権を握るイスラム主義勢力タリバンとは敵対関係にある。タリバン支配に対抗し、存在感を誇示する目的で蛮行に及んだのだろうか。

 「イスラム国」は4年前まで、イラクとシリアに拠点を持ち、世界に過激思想とテロを拡散させていた。米軍などの掃討作戦で弱体化した後も、系列の組織が中東やアフガンで勢力を拡大している。再興を許してはならない。

 タリバンは今回のテロを防げず、アフガンをテロの温床にしないという公約は早くも破られた形だ。「タリバン統治によって過激派の伸長と治安悪化を招くのではないか」という国際社会の懸念は現実のものになったと言える。

 治安維持を担うタリバン戦闘員の能力や規律には問題が多い。タリバンがこれまで戦ってきたアフガン政府軍や警察にも協力を求め、治安要員を増強しなければ、テロ抑止は不可能だろう。

 バイデン米大統領はテロを受けて、「イスラム国」に反撃する方針を強調した。米国人やアフガン人協力者の退避作戦を継続する考えも示したが、米軍を月末に撤収させる予定は変えないという。

 救出を待っているのは、外国人と各国政府のアフガン人協力者を合わせると、数万人以上に達するとみられている。米軍が完全撤収し、カブール空港をタリバンに明け渡した後、どうやって安全に退避させられるのか。

 そもそも、今回の混乱は米国が招いた側面が大きい。

 バイデン氏はタリバンの伸長や過激派の動きを軽視し、アフガンで米軍とともに活動していた北大西洋条約機構(NATO)の同盟国と十分に協議しないまま、米軍の撤収作業を拙速に進めた。

 米国には、外国人らの安全な出国に必要な兵力と装備を提供する責務がある。バイデン氏は戦略の甘さを率直に認め、英仏独などのNATO諸国とも緊密に連携し、体制を立て直してもらいたい。

スクラップは会員限定です

使い方
「社説」の最新記事一覧
2320887 0 社説 2021/08/28 05:00:00 2021/08/28 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)