読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

次世代原子炉 脱炭素につながる技術育てよ

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 温室効果ガスの削減に向けて、小型原子炉など新しい技術への期待が世界的に高まっている。日本も国際競争で立ち遅れないよう、研究開発体制を強化せねばならない。

 日本原子力研究開発機構は、茨城県にある「高温工学試験研究炉」の運転を再開した。次世代型の小型原子炉を開発するため、1990年代に建設されたが、東京電力福島第一原子力発電所の事故後、停止を余儀なくされていた。

 この研究炉は「高温ガス炉」というタイプで、冷却に水ではなくヘリウムを使う。核燃料は高熱に耐えるセラミックスで覆われている。水素爆発や炉心溶融は起きにくく、安全面では通常の原子炉より優れていると言える。

 高温ガス炉を含む小型原子炉は「小型モジュール炉(SMR)」と呼ばれ、通常の原発に比べれば建設費の削減が期待できるうえ、小型のため立地も柔軟に選べることから各国で注目されている。

 米国では、エネルギー省の支援を受けたベンチャー企業や大学が急速に小型炉の開発を進めている。中国も積極的に取り組んでおり、実用化に向けた実証炉の運転を始めたという。

 高温ガス炉の研究はもともと日本が先行し、2004年には世界で初めて950度の熱を取り出すことに成功した経緯がある。機構には、10年に及ぶ研究の遅れを取り戻してもらいたい。

 脱炭素社会の実現には、燃やしても二酸化炭素を出さない水素が大量に必要とされる。近年、高温ガス炉が評価されているのは発電の際に発生する高温ガスを使って水素を製造できるためだ。

 機構は、研究炉の隣接地に水素製造施設を建設し、発電に併せて、大量の水素を製造する手法の確立を目指している。

 太陽光や風力などを使う再生可能エネルギーは気候に左右され、供給が不安定だ。水素の製造にも多くのエネルギーが必要になる。発電と水素製造を同時に可能にする高温ガス炉への期待は高い。

 現在、日本の原発は再稼働が滞り、原子力産業の技術継承が不安視されている。原子力技術の開発には、数十年に及ぶ長期的な計画が不可欠だ。将来を見据え、今から手を打っておく必要がある。

 政府は、ポーランドや英国とも連携しながら高温ガス炉の開発を進める方針だ。小型炉への需要は今後、発展途上国でも高まるだろう。競争力のある国産技術を守り、育てていくためには、政府の継続した取り組みが重要である。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2372922 0 社説 2021/09/17 05:00:00 2021/09/17 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)