読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

熱海の土石流 盛り土の危険見過ごした行政

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 10年前に盛り土の危険性を認識しながら、被害を防げなかった行政の責任は重い。どこに手落ちがあったのか、厳しく検証する必要がある。

 静岡県熱海市で7月に発生した土石流災害で、県と市は崩落の起点付近にあった盛り土の造成過程に関する行政文書を公表した。

 土石流では26人が死亡し、1人が行方不明となっている。建物被害は約130棟に上る。県の基準を超える大量の盛り土が原因とみられており、文書を公表して、経緯を説明したのは当然だ。

 文書によれば、造成業者が盛り土の計画書を提出した2007年以降、複数回の崩落などがあり、県や市は指導を繰り返した。

 10年には、盛り土が崩壊すれば「住民の生命と財産に危険を及ぼす可能性がある」として、市が土砂搬入の中止を求め、翌年には、県と協議のうえ、県条例に基づく命令を出すことも決めていた。

 だが、業者が崩落を防ぐ工事を始めたことなどから、命令を見送った。結局、工事は中断され、盛り土は危険な状態で残された。県や市が、なぜ盛り土を放置したのかが問われるべき点だ。

 現在、遺族らは業者と土地所有者に損害賠償を求める訴訟を起こしている。斉藤栄市長は「行政の責任を含む、人災としての側面を否定できない」と述べている。危険を認識しつつ手をこまねいていた行政の責任も免れない。

 県は今後、有識者を交え、行政の対応を検証するという。経緯を徹底的に調べることが重要だ。

 盛り土の崩落事故は、全国各地で起きている。不適切な盛り土が相次ぐ背景には、建設や解体工事に伴う残土の発生量が、宅地造成などで使う利用量を大幅に上回っている現状がある。

 がれきや木くずは廃棄物処理法で投棄が規制されているが、残土は再利用が前提で、処理法の対象外となっている。また、各自治体の条例は、残土の扱いにばらつきがあり、規制の緩やかな地域に残土が集まる傾向があるという。

 行き場のない残土による盛り土が、今後も生じる可能性は少なくない。不適切な処分をなくすためには、国が法整備を行い、規制を強化することが不可欠だ。

 今回の土石流を受け、政府は、危険性が高い盛り土や大規模造成地など全国3万~4万か所を点検し、危険な場合は盛り土の撤去などを求めることにしている。

 近年は各地で豪雨の被害が相次いでいる。点検と対策を急ぐことが土砂災害の防止につながる。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2461385 0 社説 2021/10/22 05:00:00 2021/10/22 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)