ガソリン高騰 産業や家計への打撃が心配だ

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 暮らしに欠かせないガソリンや灯油など、石油製品の値上がりが止まらない。このまま長期化すれば、景気への悪影響が懸念される。政府は万全の対策を講じてほしい。

 全国のレギュラーガソリンの平均価格は1リットルあたり167・3円となり、8週連続で上昇した。約7年ぶりの高値という。

 原料となる原油の価格が上がったためだ。米国の原油先物価格は一時、1年前の約2倍となる1バレル=85ドル前後に達した。日本は原油を輸入に頼っており、円安もガソリン高を加速させている。

 世界経済の回復で需要が増えている中、石油輸出国機構(OPEC)に非加盟のロシアなどを加えた「OPECプラス」が今月上旬、原油の大幅な増産を見送ったことで値上がりに拍車がかかった。

 OPECプラスは11月上旬、再び今後の生産量を話し合う会合を開く予定だ。政府は米国などとも連携しつつ、増産の働きかけを強めてもらいたい。

 産油国側は増産に消極的だとみられているが、原油価格の高騰で世界の景気が冷え込めば、産油国にもマイナスだ。市場の安定が大切なことを認識してほしい。

 国内では、燃料代の負担が大きいトラック会社や農家、漁業者などの収益が圧迫される。国は相談窓口で情報を集め、状況に応じて燃料費の一部 補填ほてん などの対策を拡充する必要がある。

 冬に向けて暖房用の灯油のコストが増すなど家計への打撃も軽視できない。コロナ禍からの回復途上にある景気を冷やしかねず、政府は影響を注視すべきだ。

 価格高騰は、原油にとどまらない。脱炭素に向けて再生可能エネルギーを拡大させた欧州では、天候不順で風が弱くなり、風力発電の出力が低下した。代わりの発電用燃料として天然ガスの需要が急増し、価格が上がっている。

 天然ガスが足りなくなり、次の代替燃料となる原油の需要増が価格を押し上げ、世界で資源高の連鎖を呼んでいる状況だ。石炭価格も上昇し、石炭への依存度が高い中国は電力不足に陥っている。

 脱炭素の取り組みが広がったことにより、油田やガス田などへの投資が減少しているという。再生エネでは、高まるエネルギー需要に対応できていない。

 再生エネへの急激な転換がエネルギー危機を招かないよう、各国はつなぎ役となる原油やガスの安定供給にも目を向けなければならない。日本では、原子力発電を有効活用することも不可欠だ。

スクラップは会員限定です

使い方
「社説」の最新記事一覧
2482550 0 社説 2021/10/30 05:00:00 2021/10/30 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)