自民単独過半数 緊張感持ち政権の安定を図れ

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 ◆難局乗り切る実行力が必要だ◆

 長期政権の緩みに反省を求め、緊張感のある政治を期待したい。それが今回示された民意であろう。岸田首相は政策の実行力を高め、難局を乗り切らねばならない。

 第49回衆院選は、自民党が単独過半数の議席を維持し、公明党と合わせ与党で絶対安定多数を確保した。首相は「政権選択選挙で信任をいただいた。しっかり政権運営をしていきたい」と語った。

 ◆「1強」の緩み反省促す

 自民は、厳しい選挙戦を強いられた。9年近い安倍、菅両政権は、外交や安全保障、経済政策で実績を重ねる一方、感染症対策で後手に回り、政策に関する説明不足が指摘された。「1強」の おご りに対する批判もあった。

 首相は、1か月前に政権を引き継いだばかりだ。国民の声に謙虚に耳を傾け、丁寧な政権運営に努めてもらいたい。

 日本は今、新型コロナウイルス流行だけでなく、本格的な経済再生や、人口減少への対応など、困難な課題に直面している。

 軍事・経済両面で台頭する中国は国際ルールを無視した行動が目立ち、米国など民主主義国との対立が深まっている。

 国際社会の平和と繁栄に向け、日本が果たすべき役割は大きい。日本政治の動向は、国際情勢にも影響を与える。

 来夏には参院選が行われる。短命政権が繰り返されることがないよう、政治の安定を図るのが首相の最大の責務である。一つ一つの課題に着実に取り組み、国民の期待に応えてほしい。

 首相は選挙戦で、「新しい資本主義」によって「成長と分配の好循環」を作り出すと訴えた。

 だが、その具体策が十分に示されたとは言えない。速やかに政策の全体像を明示し、経済再生を進めていく必要がある。

 北朝鮮のミサイル発射や、中国による一方的な海洋進出により、日本の安全保障環境は一段と厳しくなっている。ミサイル攻撃に対する抑止力の強化について、早急に方針をまとめるべきだ。

 自民党が議席を減らしたことで、政権内で公明党との調整がより重要になるとの見方もある。

 公明は、抑止力の強化などに慎重な立場だ。だが、与党として必要な政策課題を遂行する責任がある。両党で協議を重ね、結論を出していくことが大切である。

 ◆野党共闘は振るわず

 立憲民主、共産など野党4党は、市民団体を介して「安保関連法の違憲部分の廃止」などの政策協定を結んで選挙に臨んだ。立民は、共産と「限定的な閣外からの協力」を受けることで合意した。

 これを踏まえ、共産は小選挙区の擁立を大幅に減らし、国民民主党を加えた野党5党の候補者が213小選挙区で一本化された。

 野党は、共闘に一定の効果があったとしているものの、立民は公示前の議席数を下回った。

 立民は「現実的外交」を掲げるが、日米安保条約廃棄を主張する共産と連携して、どのような政権を目指すのか。それが不明確だったのが敗北の要因だろう。

 政権批判票の受け皿とならなかったことを、野党第1党として深刻に受け止めねばなるまい。

 共産との協力には、民間労組の一部からも反発を招いた。

 立民が政権交代を目指すのなら、安保関連法廃止などを訴えるのではなく、現実の脅威に対して具体的な外交・安保政策を掲げたうえで、経済や社会保障政策などで与党との違いを明確に打ち出すべきではなかったか。

 参院選に向けて、共闘の路線を見直し、政権担当能力を示していくことが課題となろう。

 日本維新の会は、自公政権に不満を抱く保守層から支持を集めた形だ。成長のための改革を訴え、地盤の関西だけでなく、関東などでも議席を獲得して躍進した。

 今後、憲法改正などの課題では、自民が維新に協力を求める場面もあろう。国会での憲法論議を活発化させてもらいたい。

 ◆盛り上がり欠いた論戦

 4年ぶりの審判の機会だったにもかかわらず、選挙戦が今ひとつ盛り上がりに欠けたことは残念だ。与野党のどちらにも、「追い風」は吹かなかった。

 自民党に不満を持ちながら、野党にも政権を任せられないと考え、投票所から足が遠のいた人は少なくなかったのではないか。各党の訴えや候補者らに魅力が足りなかった面も否めない。

 有権者の声を政策に生かす日頃の地道な政治活動が減っているという。与野党は危機感を持って政治のあり方を見直してほしい。

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2486033 0 社説 2021/11/01 05:00:00 2021/11/01 05:00:00

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