岸田政権再始動 着実に成果上げ負託に応えよ

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 ◆外交安保の懸案を前進させたい◆

 政策を実行に移し、実績を重ねることで、国民の負託に応えねばならない。自民党は安定勢力確保に安住することなく、気を引き締めて政権運営にあたってほしい。

 衆院選の結果を踏まえ、岸田首相と公明党の山口代表が会談し、連立政権の継続を確認した。10日に召集される特別国会で、第2次岸田内閣が始動する。

 自民党は、議席を減らしたものの、国会を安定的に運営できる絶対安定多数の261議席を獲得した。首相は記者会見で、「岸田政権で国の未来を作り上げてほしいという民意が示され、身が引き締まる思いだ」と語った。

 ◆自民は態勢立て直しを

 首相は1か月前に就任したばかりで、実績が評価されて信任を得たとは言えない。選挙で得た安定的な基盤を生かし、日本が直面する課題について、着実に成果を出せるかどうかが問われている。

 自民党は、甘利幹事長が小選挙区で敗れたのをはじめ、石原伸晃元幹事長らベテランが相次いで落選した。

 長期政権の おご りに、国民は厳しい視線を注いでいるのだろう。首相はそのことを肝に銘じ、緊張感を持って対応する必要がある。

 首相は、辞意を示した甘利幹事長の後任に、茂木外相を充てる方針を決めた。政権運営が本格化する矢先に、党の要である幹事長の交代を迫られたのは痛手だ。来夏には参院選が迫る。態勢の立て直しを急ぐべきだ。

 当面の最優先課題は、新型コロナウイルス再流行の抑止である。首相は記者会見で、感染拡大に備えた対策の全体像を近く公表する考えを示した。

 ◆政策の具体化が急務だ

 国民の生命を守るため、病床や医療従事者を確保し、ワクチンや治療薬を適切に供給していくことが肝要だ。国民が安心感を持てるよう、政府は総合的な施策をわかりやすく示してほしい。

 政府・与党は、今月中旬に経済対策を取りまとめ、その内容を反映した今年度補正予算案を年内に成立させる方針だ。

 コロナの流行は下火になり、経済活動は徐々に再開しているが、日常を取り戻すには時間を要する。打撃を受けた事業者や困窮世帯の暮らしを支え、経済の再生を後押しすることが急務である。

 来年度予算編成では、首相が掲げる「新しい資本主義」をどのように具体化するかが焦点となる。首相は、有識者会議を設置し、「成長と分配の好循環」に向けた政策の検討を委ねた。

 中小企業や地方にアベノミクスの恩恵が行き渡っていないという認識は妥当だ。安倍内閣も、多くの企業での賃上げを実現し、経済的な格差を是正することを目指したが、果たせなかった。

 首相が訴えた所得向上について効果的な政策を示さなければ、国民の期待はしぼみかねない。

 脱炭素やデジタル化などの分野で、成長戦略が実を結ぶかどうかが経済再生の鍵を握る。首相が指導力を発揮し、投資促進や技術開発、規制改革などに多角的に取り組む必要がある。

 首相は、就任後初の外遊として英国を訪問し、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席する。首脳級会合で演説し、ジョンソン英首相らとの会談も予定している。

 ◆外相経験を生かせるか

 長い外相経験を生かして、活発な首脳外交を展開できるかどうかが注目されよう。

 東アジアの安全保障環境は、一層厳しくなっている。北朝鮮は新型ミサイルの発射実験を重ね、中国は東シナ海での軍事挑発や台湾への威嚇行動を続けている。

 日本は米国と連携し、地域の安定を脅かす行為を繰り返さないよう、中国や北朝鮮に粘り強く自制を求めねばならない。抑止力を強化するため、ミサイル攻撃に対する反撃力に関しても、自民、公明両党は早期に検討すべきだ。

 衆院選で共闘した立憲民主党と共産党がともに議席を減らす一方、日本維新の会が躍進し、野党への有権者の評価が分かれた。

 立民は、枝野代表ら執行部の責任論が浮上している。

 旧民主党勢力は、政権転落後、安全保障政策や憲法改正、共産党との共闘を巡って対立し、離合集散を繰り返した。今回の敗北は、共産党を含む野党共闘路線の行き詰まりを示すものと言えよう。

 単に幹部交代で済ませるのではなく、党運営や政策立案のあり方を根本から見直すとともに、地方組織の強化に地道に取り組まなければ、今後の展望は描けまい。

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2488856 0 社説 2021/11/02 05:00:00 2021/11/02 05:00:00

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