ベラルーシ 移民でEU揺さぶる独裁政権

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 大量の移民を意図的に送り込み、欧州連合(EU)の分断を図る狙いは明白だ。移民の命を危険にさらす非人道的な行為は許されない。

 欧州移住を目指す中東の人々がベラルーシに入国後、隣国のEU加盟国ポーランドとの国境に押し寄せ、混乱が続いている。EUは、ベラルーシが不法な越境を支援し、「移民を政治目的で利用している」と非難した。

 1994年からベラルーシを支配するルカシェンコ大統領は、「欧州最後の独裁者」の異名を持ち、反政権運動の弾圧を批判する欧米諸国と対立してきた。

 中東からの入国者が急増したのは、EUがベラルーシ制裁を強化した今年6月以降だ。旅行業者を使って移民希望者を集め、入国後は軍がポーランド国境付近に輸送したとみられている。

 どの国にとっても、移民・難民の受け入れは賛否が分かれる問題だ。EUの圧力に対し、移民を兵器扱いして対抗するルカシェンコ氏の手法は常軌を逸している。

 ポーランドから入国を拒否された移民は寒さの中で立ち往生し、健康状態が危ぶまれているという。ベラルーシには、入国を許可した以上、移民の安全を保障する責務がある。自国内での一時保護や、帰国支援を進めるべきだ。

 EUがベラルーシの問題に気をとられている裏で、ロシアはウクライナとの国境地帯に部隊を集結させ、脅威を高めている。

 ベラルーシの後ろ盾となっているロシアは、今回の問題でもルカシェンコ政権と連携し、欧州情勢がロシアに優位に展開するように画策しているのではないか。

 EUは、ベラルーシやロシアの揺さぶりに動じることなく、結束を保つことが重要である。

 ポーランドやハンガリーなどは移民や難民の受け入れに反対し、国境にフェンスを設置するなど、遮断する手段を強化している。EU加盟国が公平に受け入れ、負担を分かち合うべきだとするドイツなどとの溝は残っている。

 2015年の中東・北アフリカからの大量の難民流入を巡り、加盟国内で生じた対立を繰り返してはならない。EUとして、移民・難民問題での共通の立場を今後も模索していく必要がある。

 イラクやシリア、アフガニスタンなどの政情不安が続く限り、移民や難民の発生は食い止められない。今回のように政治利用される事態も出てくるだろう。国際社会がこうした国を粘り強く支援することが予防策となる。

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2542927 0 社説 2021/11/24 05:00:00 2021/11/24 05:00:00

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