保育介護賃上げ 確実に現場へ届く工夫が要る

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 子供の成長を見守り、高齢者の生活を支える専門職が、安定して働ける環境を整えることが大切だ。賃金を適切な水準に引き上げ、人材の確保につなげてもらいたい。

 政府が、総額35・9兆円の今年度補正予算案を決定した。この中に、来年2月以降、保育士や介護職員、看護師らの賃金を引き上げるための予算を盛り込んだ。

 岸田首相は「新しい資本主義」を掲げ、人への投資を重視する施策を打ち出している。まず公費で賄われる保育士らの給与を引き上げることで、民間企業全体の賃上げにつなげる狙いだという。

 保育士や介護職員らは月額9000円、新型コロナウイルスに対応する看護師は月額4000円、それぞれ引き上げたい考えだ。

 政府はこれまでも、保育士や介護職員の処遇改善に取り組んできたが、成果が十分だったとは言い難い。2020年の平均賃金は、保育士が月30万2000円、介護職員は月29万3000円で、なお全産業平均を下回っている。

 働く女性が増え、高齢化が進む中、保育や介護に対する需要は大きい。だが、慢性的な人手不足に陥っており、必要な人材を確保するためにも、継続的に報酬を底上げしていくことが不可欠だ。

 問題は、賃上げ予算が確実に現場の職員に行き渡るかどうかである。会計検査院によると、過去の対策では、保育士の賃上げ費用を受け取ったものの、賃金改善に充てなかった施設が300以上あったことが明らかになっている。

 多額の予算を投入しても、賃上げにつながらないようでは意味がない。政府は、これまでの対策の不備を検証し、効果的な仕組みを作らなければならない。

 介護施設からは、届け出の事務作業が煩雑だという指摘もある。政府は、きちんと支払われたかを把握する体制を整えつつ、事務負担の軽減にも配慮してほしい。

 補正予算による引き上げは来年9月までで、さらに継続するには抜本的な措置が必要になる。

 政府は、有識者による公的価格評価検討委員会を設け、具体策を年末までにまとめる方針だ。

 保育は税金と利用者負担、介護は保険料も含めた財源で賄われ、国が決めた価格に基づいて施設側に費用が支払われている。

 保育や介護に携わる人の賃金が上がれば、その分、必要な費用は増えることになる。国民負担とのバランスをどうとるのか、政府は将来の見通しを示し、国民に理解を求めていくべきだ。

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2553477 0 社説 2021/11/28 05:00:00 2021/11/28 05:00:00

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