三菱電機処分 不正を横行させた歴代経営陣

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 大手製造業にはびこる悪癖は、日本のものづくりの基盤を揺るがしかねない。今回の処分を、信頼回復の一歩としなければならない。

 三菱電機は、鉄道車両向け製品などの不正検査問題を受け、柵山正樹前会長、杉山武史前社長を含め12人の歴代経営陣に対する処分を発表した。7月に就任した漆間啓社長も、不正当時、事業部門の責任者で、処分対象となった。

 処分は、企業統治の体制を調べていた弁護士らによる外部委員会の検証結果に基づくものだ。報酬を減らすほか、退任慰労金などの一部自主返納を求めるという。

 2016年以降、自動車メーカーなどで次々に不正検査が発覚し、三菱電機も16年度から3回、社内点検を行っていた。それでも、不正を見過ごした経営陣の責任が極めて重いのは当然だ。

 外部委員会は、14年4月~18年3月に社長だった柵山氏が、社内点検に「主体的に関与した形跡は見受けられない」と断じた。杉山氏に交代する際、重要事項として引き継いでいなかったという。

 杉山氏についても、18年度の点検時、全ての問題を洗い出すとの趣旨が社内に十分に伝わらなかったことを批判した。経営者として怠慢だと言わざるを得ない。

 新たな問題も発覚している。不正の詳細を調べている別の外部委員会が10月に続く「第2弾」の報告書をまとめ、和歌山県や香川県の工場など5製作所で29件の問題があったと認定した。

 長崎製作所が製造した非常用自家発電機では過去に、設計ミスで故障する事例があったが、全部の交換や修理を行わず、個別に対応する措置を取っていた。

 老人福祉施設や病院に納入されており、災害時には人命にかかわる危険があったことは深刻だ。

 上意下達の官僚的な体質も改まっていない。不正に関する全社調査では、社員が上司に気兼ねせずに回答できるよう、外部委に直接送ってもらうことにしていた。

 それにもかかわらず、上司が会社に回答を提出するよう求めた事例が複数あった。調査を妨げようとしたのなら、許されない。

 大手製造業の不正は後を絶たず、日立製作所の子会社で自動車部品大手の「日立アステモ」でもサスペンションやブレーキの部品検査で不正が明るみに出た。

 三菱電機も日立も、日本を代表する名門企業だ。日本の製造業の国際的な信頼が損なわれれば、経済の再生にも水を差す恐れがある。問題の根絶が急務である。

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2635168 0 社説 2021/12/28 05:00:00 2021/12/28 05:00:00

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