高校の国語 文学と論理は分けられない

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 感受性の豊かな高校時代に優れた文学に触れることは、後の人生にも大きな影響を及ぼす。文学と実用的な文章を切り離す高校の国語改革には無理があると言わざるを得ない。

 高校は4月から、学習指導要領が新しくなる。現代文や古文、漢文を幅広く学ぶ必修の「国語総合」は、実用的な文章を扱う「現代の国語」と、文学や古典に特化した「言語文化」に再編される。

 文部科学省は、社会で役立つ国語力の育成を掲げ、「現代の国語」では原則、文学作品を扱わない方針を示していた。

 しかし、高校1年生が使う「現代の国語」の教科書選定では、「小説」を掲載した第一学習社の教科書が占有率約17%で全国のトップになった。

 第一学習社は「羅生門」や「城の崎にて」など五つの小説をあえて掲載し、国の検定に合格していた。「小説を扱いたいという高校側の要望を踏まえた」と説明しており、今回の国語教育改革に一石を投じたと言える。

 実際、現場からは「再編の影響で、文学を教える時間が足りなくなる」との声が上がっている。一方、他の教科書会社には「まじめに国の方針に従って損をした」という不満がくすぶる。

 文科省側は当初、教科書会社側には「『現代の国語』で文学を扱う余地はない」と説明していたとされる。しかし、検定を行う審議会は「文学の掲載が一切禁じられているわけではなく、直ちに欠陥とは言えない」と判断した。

 海外では文学作品と論理的文章を細かく区別して指導していないという。両者を無理に切り分けることで、本当に生徒の国語力は向上するのだろうか。

 若者の読解力が低下し、リポートを書く力も乏しいと指摘されている。実用的な文章を読みこなし、論理的に書く力を身につけさせることは重要だが、それは文学との二者択一ではないはずだ。

 2023年度には、2、3年生で学ぶ選択科目も、現在の「国語表現」「現代文A」「現代文B」「古典A」「古典B」から「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」に再編される。

 今後は大学入試に出題されやすい実用文中心の論理国語と古典探究を選ぶ生徒が増えるとみられ、学会などが「文学の軽視につながる」と懸念を表明している。

 批判の多い改革を強引に推し進めるべきではない。文学と論理にあえて線を引かず、一体的に学べるように改めることが必要だ。

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2661506 0 社説 2022/01/10 05:00:00 2022/01/10 05:00:00

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