生乳の廃棄懸念 消費拡大で酪農業を守りたい

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 牛乳や乳製品は栄養が豊富で、食生活に欠かせない。安定的な消費の方策を考え、日本の酪農業を支えていきたい。

 新型コロナウイルスの流行により、外食産業などで牛乳の需要が減っている。

 さらに、年末年始は学校が冬休みで、消費量の約1割を占める給食がなくなるため、原料である約5000トンの生乳が余って廃棄を迫られる恐れが出ていた。

 岸田首相が国民に呼びかけるなど、官民で牛乳の消費を増やすキャンペーンを展開した結果、廃棄は回避することができたが、3月に再び学校が春休みに入る。

 感染再拡大による需要の低迷が続く一方、春は生乳の生産が多くなる時期で、廃棄の懸念が再燃する可能性があるという。

 廃棄になれば、食品ロス削減の流れに逆行するほか、酪農業に打撃となる。廃棄を避ける方策を練らねばならない。

 酪農は需給バランスを調整するのが容易ではない。搾乳を始めると、毎日続けなければ、牛が乳房炎などの病気になる場合があり、生産を減らせない。生乳は傷みやすく、長期保存が困難だ。

 一方、牛乳の需要は気温が高いと増え、季節で変動する。

 通常、需要が減った分の生乳は保存がしやすい脱脂粉乳やバター、チーズなどへの加工に回している。だが、余剰分が多くなりすぎると、工場の処理能力が足りなくなるケースがあるという。

 春に向け、酪農家や乳製品会社が工場を最大限に稼働できるよう、人員の確保も含め入念に準備を整えることが大切だ。

 業界団体も、牛乳を使う食品のレシピを考案するなどの工夫で、用途拡大に努めてもらいたい。容器を改良し、賞味期限を長くすることも有効だろう。

 もともと、酪農業は高齢化や後継者不足に苦しみ、生乳の生産量は1996年度の約866万トンをピークに減少傾向となっていた。2014年には「バター不足」が深刻な問題となった。

 その後、農林水産省が増産を後押しする政策を進め、19年度以降、生産は増加基調に転じていた。そこをコロナ禍が直撃した形だ。

 保存しにくい生乳は輸入が難しい。安定的に供給を続けていくには、国内の酪農業など生産体制の整備が必要である。

 食料安全保障の面からも、政府は、需給のバランスを取る方策を探りつつ、人材育成や生産の効率化など酪農業の発展につながる支援策を講じてほしい。

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2735957 0 社説 2022/02/06 05:00:00 2022/02/06 05:00:00

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