アサリ産地偽装 消費者を欺く不正の根は深い 

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 産地の偽装という消費者を裏切る行為が、大規模に行われていたことに驚かされる。不正の実態を解明し、有効な対策を講じる必要がある。

 「熊本県産」として国内で流通していたアサリのほとんどが、中国や韓国から仕入れた外国産だったことが判明した。

 農林水産省によると、昨年10~12月に販売されたアサリの約8割が「熊本産」と表示されていた。総量は熊本県のアサリの年間漁獲量の100倍以上にあたる。

 ウナギや牛肉など食品の産地偽装は後を絶たないが、アサリの産地偽装の規模は異常というほかない。熊本県の蒲島郁夫知事が「想像を絶するところまできている」と危機感を示したのは当然だ。

 アサリの流通過程には、輸入や卸、小売りなどの各段階で様々な水産業者が関わっている。「熊本産ではないアサリが出回っていることは、業界ではみんな知っている」と語る業者もいる。

 産地偽装は誰が主導し、どこまで不正に関与していたのか。農水省は県や警察と連携して実態を解明し、厳しく対処すべきだ。

 食品表示法に基づく基準では、アサリを2か所以上で生育した場合、期間が長い場所を原産地として表示することになっている。

 この仕組みを悪用し、海外から輸入したアサリをいったん熊本の干潟などで育てる際、熊本での生育期間が海外で育てた期間より長くなるよう書類を書き換える行為が横行しているとされる。

 熊本県を全く経由しないアサリが、書類だけ「熊本産」として出荷されるケースも多いという。明らかに違法行為である。

 熊本県はかつて国内生産量の4割を占める一大産地だった。そのブランド力を利用した行為は、悪質でモラルの欠如が甚だしい。

 今回の問題を受け、県はアサリの出荷を停止した。偽装発覚後、熊本産ハマグリが大量に返品されるなど影響が広がっている。真面目にルールを守ってきた業者も迷惑しているに違いない。

 熊本県は国に対し、原産地表示の見直しや、漁獲から販売までの産地を把握できる履歴管理制度の導入を求めている。偽装を見抜くための制度づくりが不可欠だ。

 日本の食品表示が信用できないとの風評が広がれば、政府が力を入れる農産品の輸出拡大や、新型コロナウイルスの感染収束後に期待される訪日外国人による消費にも響きかねない。

 再発防止を急ぎ、失われた信頼を取り戻さねばならない。

スクラップは会員限定です

使い方
「社説」の最新記事一覧
2769709 0 社説 2022/02/18 05:00:00 2022/02/18 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)