IT企業規制 利用者保護を最優先に論じよ

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 インターネットの普及に伴って、IT企業が収集する利用者の情報をどう保護するかが大きな論点となっている。多くの人が納得できるルールを設ける必要がある。

 総務省の有識者会議は今月中旬、IT企業の新たな規制に関する報告書を公表した。

 政府は、報告書の趣旨を反映した電気通信事業法の改正案を国会に提出する方針だが、厳しい規制は経済界の反対で見送るという。政府は利用者側の声をしっかり聞き、中身を再検討すべきだ。

 米グーグルなどのIT企業は、無料で検索などのサービスを提供する代わりに、閲覧履歴のデータを集めている。それを広告会社などと共有することで、利用者の好みに合わせたデジタル広告を配信し、 莫大ばくだい な利益を得ている。

 日本の個人情報保護法では、閲覧履歴は氏名や住所などが含まれないため、個人情報にはあたらないとして対象外だ。

 ただ、何に興味を持ち、何を買ったかというデータが勝手に蓄積され、広告に使われていることを不快に思う人は多い。情報 漏洩ろうえい への不安も強まっている。

 そのため総務省は当初、閲覧履歴を外部に提供する際は、事前に利用者の承諾を得ることや、事後的に外部提供を拒否できる仕組みの導入を義務づけようとした。

 ところが、ビジネスの制約になるという経済界の猛反発で、本人同意の義務化を取り下げ、外部提供していることを通知・公表すればよいとの内容にとどめた。

 海外では、欧州連合(EU)が2018年施行の一般データ保護規則(GDPR)で閲覧履歴も個人情報とし、同意のない外部提供を原則禁じている。米国でもカリフォルニア州で同様の規制が始まり、他州に波及しつつある。

 最優先すべきは、利用者の保護である。法整備で日本が立ち遅れることは避けねばならない。

 今回の規制は、無料通信アプリ「LINE」の利用者情報を中国企業が閲覧できる状態だった問題を受け、議論が始まった。情報を保管するサーバーの設置国を公表させる方向だが、これも結論は出ず、検討を続けるという。

 そもそも、電気通信事業法は、総務省が所管する事業者しか対象にならない。ネット通販も扱う大手小売業などは含まれず、規制の範囲が十分とは言えない。

 総務省だけでなく、関連する省庁が一体となり、利用者が安心してネットのサービスを使える環境を早期に整えるべきだ。

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2781041 0 社説 2022/02/22 05:00:00 2022/02/22 05:00:00

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