トヨタ工場停止 供給網のサイバー対策強めよ

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 サプライチェーン(供給網)の 脆弱ぜいじゃく さを突いた卑劣なサイバー攻撃である。大手メーカーは、取引先を含めたリスクの総点検を行うべきだ。

 トヨタ自動車は1日、国内全14工場28ラインの稼働を停止した。取引先の部品会社がサイバー攻撃を受け、部品を供給できなくなったためだ。

 トヨタは2日に生産を再開するが、日本最大のメーカーの国内全工場が一斉に止まり、1万3000台の生産に支障が出るという異例の事態である。

 部品会社1社の供給停止が全体の機能 麻痺まひ を招いたことは、自動車メーカーの供給網が抱えている危うさを改めて浮き彫りにしたと言える。トヨタは、問題点を徹底的に究明し、再発防止に万全を期さなければならない。

 被害は、内装用の樹脂部品などを作る愛知県の小島プレス工業で起きた。2月26日夜にサーバーの障害を検知し、ウイルス感染と脅迫メッセージを確認した。身代金要求型の「ランサムウェア」が使われたとみられる。

 27日には、さらなる攻撃を防ぐためネットワークを遮断し、トヨタとの受発注を扱うシステムが止まったため、部品納入が難しくなった。トヨタ本体のシステムに問題は生じていないという。

 自動車業界では、2020年にホンダがサイバー攻撃を受け、海外の一部の工場で生産が停止するなど被害が相次いでいる。

 さらに、システムの防御が厳重なトヨタのような大手ではなく、下請けの部品会社が狙われることも懸念されている。供給網全体で攻撃に備える対策の重要性はかねて指摘されていた。

 トヨタにとどまらず、供給網が幅広い大手企業は、取引先と一体となってサイバー攻撃への強固な防御策を講じてもらいたい。

 ロシアによる侵略に際して、ウクライナは大規模なサイバー攻撃にさらされたという。ロシア政府の関与が疑われている。対露経済制裁に加わっている日本政府も、企業に対し安全対策を強化するよう呼びかけていた。

 今回の攻撃にロシアが関与していたかどうか。官民で情報共有を密にし、警戒レベルをさらに引き上げる必要がある。

 警察庁は、国境を超えたサイバー攻撃に対応するため、今年4月から専門の捜査部隊を創設する予定だ。犯人の摘発が、有効な防御策となろう。捜査当局は、発信元の特定など事件の全容解明に全力を挙げてほしい。

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2801087 0 社説 2022/03/02 05:00:00 2022/03/02 05:00:00

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