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プーチン露大統領がどんなに言論統制を強め、荒唐無稽な
ロシアはウクライナ侵略について、自国の安全を守るための「特殊軍事作戦」だとする主張に固執している。露メディアは、「侵攻」「攻撃」「戦争」といった表現を使うことを許されていない。
加えて、露軍の活動に関して、「虚偽の情報」の拡散を罰する法律を成立させた。ロシアに住む外国人も対象になるという。ウクライナ情勢を客観的に報道すること自体、ロシアでは違法行為とみなされることになる。
これを受け、米国や英国などの一部メディアは、ロシアでの取材活動の一時停止を決めた。
ロシア国民が情報把握や発信の道具としてきたフェイスブックやツイッターにも、遮断などの規制が加えられるようになった。
プーチン政権の言論統制は、厳しさを増す一方だ。侵略が思うように進まず、ウクライナ軍の激しい抵抗や国際社会の厳しい制裁に直面し、自国内でも反戦の声が拡大しつつあることへの焦りの表れではないか。
政権側の主張が浸透しないのは嘘で固めていることを見透かされているからである。プーチン氏は「ウクライナが核兵器を保有しようとしていた」と主張し、それも侵略の理由に挙げている。だが、裏付ける証拠は全くない。
露軍はウクライナの原子力発電所の制圧や、核物質を保管する研究施設への攻撃を進めている。「核開発の物証」をでっちあげる狙いもあるのだろう。
「攻撃対象は軍関連施設だけだ」というプーチン政権の説明を信じる人は、もはやいまい。住宅街が攻撃を受けている惨状は、現地の映像が如実に示している。
原発の火災や民間の死傷者について「ウクライナの自作自演だ」とする主張に至っては、常軌を逸していると言わざるを得ない。
北大西洋条約機構(NATO)が東方不拡大の約束を破ったというプーチン氏の言い分も、説得力を欠いている。
NATOが文書で確約した事実はないし、仮に口頭の「約束」があったとしても、侵略を正当化する理由にはならないからだ。
プーチン氏の耳に入るのは、これからは不都合な真実でなく、嘘の情報ばかりになるだろう。判断ミスを積み重ね、自らの嘘に欺かれることになるのではないか。