食料危機の懸念 露の蛮行が供給を停滞させた

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 ロシアのウクライナ侵略が、世界的な食料危機を招く恐れが強まっている。国際社会は危機への備えを進めるとともに、途上国の支援を急がなければならない。

 ウクライナとロシアは世界有数の穀倉地である。両国で、小麦やトウモロコシなど世界の穀物輸出の3分の1以上を占めている。

 主に中東や北アフリカなどの途上国が輸入し、世界最大の小麦輸入国であるエジプトは8割以上を両国に依存しているという。

 だが、ウクライナの輸出拠点となる黒海沿岸の港がロシアによって閉鎖され、穀物の輸出に支障をきたしているとされる。

 さらにウクライナでは、国民の国外への避難や農民の従軍による人手不足で、農作業自体が困難になっているという。穀物の収穫に甚大な影響が出るのは確実だ。

 経済制裁を受けているロシアからの輸出も減るとみられる。

 穀物を輸入に頼る途上国の貧しい人たちに、しわ寄せが及ぶことは容認できない。ロシアの蛮行は、中東の親露国にも打撃を与えることを認識すべきだ。

 昨年以降、コロナ禍からの景気回復や物流の混乱、燃料費の高騰によるコスト増で、食料価格の上昇が加速していた。そこにウクライナ危機が追い打ちをかけた。

 国連食糧農業機関は、今後数か月にわたって穀物輸出が停滞し、最悪の場合には世界で約1300万人が栄養不良に陥ると試算している。飢餓が広がり、政情が不安定化する国が増えかねない。

 国際社会は、ウクライナの港の穀物出荷が可能になるよう、人道的な見地からロシアへの圧力を強めることが重要だ。先進国が国連機関を通じて、途上国に食料支援を行うことも急務である。

 先進7か国(G7)の農相は3月、食料危機の回避に向けて対処することで一致した。自国を優先して食料輸出を制限しないよう世界各国に求めるほか、投機資金による価格高騰で食料調達が難しくなることを防ぐという。

 G7で監視に努め、食料の安定供給につなげてほしい。

 日本は、小麦の約9割を輸入している。すでにパンや麺類など、幅広い食品が値上がりしており、ウクライナ危機の影響で今後、拍車がかかる可能性がある。

 政府・与党は、中長期的な国内の食料安全保障の強化について、論議を始めた。国際連携への取り組みや穀物の国内生産の増強、コメの消費拡大策など、有効な具体策の検討を進める必要がある。

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2900985 0 社説 2022/04/07 05:00:00 2022/04/07 05:00:00

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