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民間人の虐殺は決して容認できない戦争犯罪である。日本は、ロシアの蛮行をやめさせるため、国際社会と結束して圧力を強めねばならない。
岸田首相は、ロシアのウクライナ侵略に対する追加制裁措置を発表した。制裁強化を明記した先進7か国(G7)首脳声明を受け、これまで慎重だったエネルギー分野でも、ロシア産石炭の輸入禁止に踏み込んだ。
ロシアは、民間人の殺害や原子力発電所、民間施設などへの攻撃を繰り返している。国際人道法に明確に違反する暴挙だ。
首相が記者会見で「断じて許されない戦争犯罪だ。ロシアによる非道な行為の責任を厳しく問うていかなければならない」と強調したのは当然である。
ウクライナ東部ドネツク州では駅が攻撃され、子供を含む多数の民間人が死傷した。ロシア軍の短距離弾道ミサイルが使われたとみられている。
石炭の輸入禁止は、電力供給などへの影響を考慮し、段階的に実施するという。石油も含め、エネルギーの対露依存を着実に引き下げていく必要がある。
日本は、石炭の約1割をロシアから輸入している。全面禁止を見据え、電力需給が
追加制裁に合わせ、政府はロシアに対し、在日ロシア大使館の外交官ら8人の国外退去を要求した。異例の措置である。
欧米各国は相次いで露外交官の国外追放に踏み切っており、日本も足並みをそろえた。現在のロシアと通常の外交関係を維持することはできず、プーチン政権への抗議の意思を示したのは妥当だ。
ロシアが対抗措置を取った場合、現地の邦人保護に支障が生じる懸念もある。政府は、邦人の安全確保に努めてもらいたい。
国際社会では、ロシアによる戦争犯罪を法廷で裁くための動きが広がっている。
すでに捜査を開始した国際刑事裁判所(ICC)に対し、各国が支持を表明している。国連による現地での調査を早期に実現させ、侵略の実態を明らかにすることも不可欠である。
日本はICCへの分担金の支払いを前倒しし、戦争犯罪の捜査を支援するという。
一刻も早く侵略を終わらせ、国際法秩序を維持するために、各国と緊密に連携し、あらゆる方策を講じていくことが重要だ。