デジタル教科書 紙を補助する活用法が有効だ

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 学校現場でデジタル端末を使う場合は、紙の教科書を基本とし、デジタルは補助的な活用にとどめるのが、最も効果的な利用法であると明確になったのではないか。

 国が2024年度の本格導入を目指すデジタル教科書について、読売新聞が公立小中学校500校を対象にアンケートを実施したところ、全面移行に懸念を抱く学校が全体の9割近くに上った。

 端末の故障や不具合への対応に苦慮している学校が多く、学習効果への疑問も目立った。

 「電源が入らない」「インターネットにつながらない」などの理由で授業の開始が遅れる例があるほか、授業中にゲームや動画の閲覧に興じる子供も多いという。教員が困惑するのも無理はない。

 デジタル端末は、授業に音声や動画を活用できる特性がある。文字の拡大が可能で、読み仮名を振る機能もあるため、視覚障害や外国人の子供にも有効だ。

 デジタル技術を上手に使うことは重要である。だからといって、使用頻度の高い教科書を全面的にデジタル化し、混乱に拍車をかける必要はどこにあるのか。

 今回のアンケートで「紙の教科書をメイン、デジタルを補助的にすべきだ」という回答が52%に上り、その逆は14%にとどまったのは、当然の反応だろう。

 1台しかない端末をデジタル教科書として常時使用してしまうと、検索機能や動画を活用するのが難しくなるという声もある。教科書は紙を基本とし、デジタルは学習効果を高めるための補助教材として活用するのが望ましい。

 国が子どもたちに端末を配ったのは、消費増税後の経済対策の側面もあった。使い方は本来、教育にどの程度有効なのかという観点で論じられるべきだが、その検証が不十分なままデジタル教科書への移行を進めるのは問題だ。

 デジタルは紙に比べて記憶に定着しにくいという研究結果が脳科学者から相次ぎ発表されている。経済協力開発機構(OECD)の分析でも、コンピューターの使用頻度が高い学校ほど読解力の成績が低いという結果が出ている。

 文部科学省は現在、全小中学校を対象としたデジタル教科書の実証事業を行う一方、中央教育審議会の部会で、デジタルと紙の役割分担などの議論を進めている。

 しかし、部会が一定の結論を出すのは、実証事業がすべて終わる前の今年夏頃を予定しているという。これでは、最初から結論ありきと言われても仕方あるまい。

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2946955 0 社説 2022/04/24 05:00:00 2022/04/24 05:00:00

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