巨大IT寡占 規制強化への論議が急がれる

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 米巨大IT企業の2社が、スマートフォンの基本ソフト(OS)の寡占を背景に、市場をゆがめているとの懸念が強まっている。政府は、規制強化の検討を急いでもらいたい。

 政府のデジタル市場競争会議は、スマホのOSを巡る問題点について、中間報告を発表した。昨年夏から実態調査を行った結果、競争を阻害しかねない行為が多数、確認されたという。

 スマホのOSは現在、米アップル「iOS」と米グーグルの「アンドロイド」の二つで、ほぼ100%を占める寡占状態にある。

 OSはスマホでアプリを動かす際の土台と言えるもので、アプリを開発する企業はOSの仕様に合わせる必要がある。OSを持つ企業が優越的な立場になりやすく、公正な取引が行われているかどうかを監視することが不可欠だ。

 もともと、IT企業は利用者が増えるほど多くの情報が集まり、さらに影響力が強まる。2社の市場の支配力は圧倒的だ。

 報告書によると、アップルは、有料アプリを開発する事業者がアップルのアプリストアでしか販売できないようにして、最大30%の高い手数料を取っている。

 自社と競合する事業者のデータを無断で取得して、アプリを開発していた可能性もあるという。

 グーグルは、検索で自社のサービスを最も目立つ位置に示す設定にしているとみられている。

 政府は、そうした事例を問題視し、巨大IT企業に対して、禁止項目をあらかじめ明示した上で、違反に罰則を科す事前規制の導入を検討する方針を打ち出した。

 欧州連合(EU)は10月にも、世界に先駆けて事前規制を盛り込んだ「デジタル市場法」を施行する予定だ。日本政府も、世界的な動きを意識しているのだろう。

 日本では昨年2月、ネット通販などを行うIT企業に取引の透明化を促す新法が施行されたが、自主的な改善に委ねるもので、強制力に乏しいと指摘されている。

 政府は、規制を具体化するための論議を加速させてほしい。

 報告書に対し、アップルは「いくつかの結論に謹んで異議を唱える」とコメントした。グーグルも多くの内容に反論している。

 だが、両社の取引先企業側が不満を募らせているのは事実で、アプリ事業者や利用者への一層の丁寧な説明に努めねばならない。

 スマホは検索から決済、健康管理まで様々な用途に使われ、重要なインフラとなった。それを担う責任の重さを自覚すべきだ。

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2966821 0 社説 2022/05/02 05:00:00 2022/05/02 05:00:00

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