日本医師会 患者のために行動する組織に

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 医療の専門家集団として、患者や国民の健康を守るために行動する組織であってもらいたい。

 日本医師会の会長選挙が行われ、常任理事の松本吉郎氏が新会長に選ばれた。

 松本氏は記者会見で、「日本医師会の役割は、国民の命と健康をしっかり守ることだ」と語った。さいたま市の診療所院長で、政府の審議会委員を務めてきた。

 日本医師会には、開業医を中心に17万人の医師が加入している。地域の医療を日々支え、医療提供体制の整備や診療報酬改定など、国の政策決定にも深く関与している。その責任は重い。

 日本は医師数や病床数が多く、患者が受診先を自由に選べる「フリーアクセス」が実現している、と自負してきた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大時に、地域の医療現場で、その能力が十分に発揮されたとは言えまい。

 「発熱外来」として都道府県の指定を受けた医療機関は、全体の35%にとどまった。感染しても適切な治療を受けられず、療養中に亡くなる人が相次いだ。感染症対応の病床は 逼迫ひっぱく し、回復者を受け入れる病院も足りなかった。

 多くの医師がコロナの診療に奮闘したのは確かだが、医師会が主導し、もっと組織的に検査や治療に取り組んでいたら、これほどの危機には至らなかったのではないか。医療のあり方に疑問を抱いた国民は少なくなかったはずだ。

 前会長の中川俊男氏は、会長選に出馬せず、異例の1期2年での退任となった。東京五輪・パラリンピック開催に慎重な姿勢を示すなど、政府・与党との関係がぎくしゃくしていた。

 松本氏は、国と協調し、感染症にも対応できる医療体制を構築していくことが大切だ。有事に組織が一丸となって取り組めるよう、指導力を発揮してほしい。

 財務省は、「かかりつけ医」の制度化を提案している。休日や夜間も対応する医療機関に、希望者が登録する仕組みを検討するという。診察拒否を防ぐとともに、複数の医療機関への受診を減らし、医療費を抑制する狙いがある。

 日本は、内科や外科など専門分野が分かれ、一人で総合的に診療できる人材が少ない。かかりつけ医制度の実現には課題が多い。

 開業医を束ねる日本医師会はかねて、かかりつけ医の活用を国民に呼びかけてきたが、制度化には「医師の選別につながる」と反対する声がある。自らの利益に偏ることなく、将来の医療全体のあり方を考えることが不可欠だ。

スクラップは会員限定です

使い方
「社説」の最新記事一覧
3125688 0 社説 2022/06/30 05:00:00 2022/06/30 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)