[地方議会 問う]<上>低報酬 立候補ためらい…薄れる「我がまち」意識

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議員自らが、なり手の確保に取り組んでいる(3月18日、神奈川県山北町で)
議員自らが、なり手の確保に取り組んでいる(3月18日、神奈川県山北町で)

 人口減少が進み、活力が失われつつある地方で、住民の声に耳を傾け、政策に反映させるために、議会の役割は重要さを増している。一方で、議員のなり手不足など多くの問題も抱えている。4年に1度の統一地方選が行われる中、有権者が求め、議会が目指すべきものを問う。

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 神奈川県山北町で1月上旬に開かれた賀詞交歓会で、町議会の府川輝夫議長(63)は「町民の皆さんは(次の町議選に)自ら手を挙げるか、良い人がいれば推してほしい」と呼びかけた。

 年末の時点で、次の町議選(定数14)に立候補する予定の現職町議が6人と知ったからだ。同町議選は最低12人が出馬しないと、公職選挙法で再選挙となり、町の財政負担も増える。

 府川議長は高校の先輩である瀬戸顕弘副議長(76)と、同窓会で立候補者を募り、引退予定の町議には翻意を促した。今月3~5日に行われた立候補届け出書類の事前審査には、新人8陣営を含め15陣営が顔を出した。ただ、16日の告示に向け、迷いの声も聞かれるという。

 腰痛に苦しむ瀬戸副議長は2年前、府川議長に「年だからね」と引退の意向を伝えたが、必死で慰留され、撤回。「当選したら次の候補者探しが仕事になりそうだ。しかし、若者は議員報酬だけでは生活が苦しい。報酬の見直しも必要だ」と話した。

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 総務省のデータでは、町村議選の無投票率は、2009~18年で約14%から約27%とほぼ倍増した。15年の統一地方選では、長野県南牧村など4町村で候補者が定数を下回った。全国町村議会議長会のアンケート調査(2017年)では、直近の選挙で無投票だった議会は選挙戦になった議会より議員報酬が平均値で2万1951円(月額)低く、報酬額が下がるほど無投票当選になる率が上がるという相関関係があった。

 議員報酬の平均は、町村議が市議の半分程度。月10万円台の議員もおり、兼業しないと生活は難しい。なり手不足の理由に待遇の悪さを指摘する声は多い。各地の議会は対策に乗り出し、富山県舟橋村議会は今年の3月議会で議員報酬を5万円増の20万円に引き上げた。

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 低い報酬だけがなり手不足の原因ではないようだ。全国町村議会議長会議事調査部の担当者は「人口流出に悩む地域や合併した自治体などで『自分のまち』という住民意識が薄れ、議会に無関心になったことも理由の一つ」と指摘する。

 定数を13から11に減らしても前回選で定数割れした北海道浦幌町議会では、町民と議会の交流を、なり手不足対策の中心に据えた。

 人が集まるスーパーなどへ町議が出向き、議員が買い物客らと直接話す「まちなかカフェDE議会」を始め、「このままでは議会が維持できない」と率直に伝えた。議会報告会は主に町議が住民に説明する形式から町議を囲んだ少人数の対話形式に改め、なり手不足が招く将来の危機を訴えた。

 報告会に参加した20歳代の男性は「町議と話し、議員の仕事について理解が深まった」と話す。「危機的な状況だからこそ若い世代が飛び込まないといけない」と感じ、今回の町議選に立候補するという。

 茨城大人文社会科学部の馬渡剛教授(地方政治論)は「(人材確保に向けた)突破口となるのは有権者の共感だ。無関心でいると自分たちの町や村が消えてしまう危機感を共有することが重要になる」と話している。3月15日の町議選立候補予定者説明会には、現職8陣営と新人3陣営の計11陣営が参加した。定数割れは避けられるだろうか。

 

 ◆再選挙=選挙の法定得票数以上の得票を得た候補者がいなかったり、議員定数に対して欠員数が6分の1を超えたりした場合は、公職選挙法に基づいて再選挙を行う必要がある。自治体にとっては選挙費用などで大きな負担が発生することになる。

無断転載禁止
527722 0 統一地方選2019 2019/04/09 05:00:00 2019/09/19 15:10:13 神奈川県西北部に位置する山北町。議員たちは町民との懇談の場を活用するなどしてなり手の確保に取り組んでいる(18日午後1時40分、神奈川県山北町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190409-OYT1I50004-T.jpg?type=thumbnail

統一地方選挙2019 候補者

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統一地方選挙2019 日程

前半選挙
3月21日(木) 知事選告示
3月24日(日) 政令市長選告示
3月29日(金) 道府県議、政令市議選告示
4月7日(日) 知事・道府県議、政令市長・政令市議選投票
後半選挙
4月9日(火) 衆院補選(大阪12区、沖縄3区)告示
4月14日(日) 市区長・市区議選告示
4月16日(火) 町村長・町村議選告示
4月21日(日) 衆院補、市区長・市区議、町村長・町村議選投票

※区長・区議は東京都特別区。

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