[地方議会 問う]<中>政策作り 市民と対話

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ファイルを整理しながら同僚と談笑する石井さん(3月20日、静岡県富士市で)
ファイルを整理しながら同僚と談笑する石井さん(3月20日、静岡県富士市で)

 静岡県富士市の石井希さん(25)は、市内の福祉用品販売会社「コーチョー」で週4日、商品発注や書類整理の仕事をしている。都内の大学の3年生だった2015年、白血病を患い、就職が決まらないまま昨年3月に卒業し、地元に戻った。今の会社を紹介してくれたのは、市の「ユニバーサル就労支援センター」だった。

 病気や障害など様々な理由で働けない人のため、17年4月、オープン。石井さんはセンターに相談後、同社で就労体験をして採用が決まった。「病気を理解した上で採用してくれた。私も働ける、と自信になった」

 センターは議会が提案し、実現させた。議員連盟が15年から視察や勉強会を重ね、市側とも協議し、17年2月、全国初の「ユニバーサル就労推進条例」を制定。市もセンターの運営費を予算化、これまでに50人以上の採用が実現している。

 富士市議会のように議員提案の政策条例を作るケースは、全国では少数の部類だ。早稲田大学マニフェスト研究所の調査では、有効回答の全国1298の地方議会のうち、15~17年度の3年間に議員提案政策条例を制定した議会は約15%の195に過ぎない。

 00年の地方分権一括法の施行により地方の裁量が広がり、議会の自由度も増した。“首長追随型”からの脱却が期待されたが、同研究所は「地方創生の時代は、地域の課題解決に議会が積極的に関与すべきだ。3年で195はまだまだ少ない」と指摘する。

 ただ、議員の政策力向上を図ろうと、地方自治法で設置が義務付けられている議会図書室の活用を進める議会も出てきた。

 大津市議会は、古い書籍が多く、議会の倉庫代わりだったという議会図書室のレイアウトを変えるなど、使いやすく整備。16年度には龍谷大(京都市)図書館と提携し、資料を取り寄せることもできるようにした。大学から論文を取り寄せた議員の提言を元に、市は18年度、要介護3以上の人の介護者(65歳以上)にマッサージなどの施術費を助成する制度を始めた。

 広島県呉市議会は16年度、議会図書室に司書を配置。男性市議は「蔵書が充実し、司書が統計や論文を探してくれるため、根拠を持って市に意見できるようになった」と話す。

 政策作りに「市民との対話」を積極的に取り入れる議会もある。

 岐阜県可児市議会は、議会の活動を市民に理解してもらおうと、多くの議員が参加する地域課題懇談会を実施している。「育児の息抜きに」との市民の声を受け、市が18年にオープンさせた子育て支援施設のレストランで、酒類の提供が決まったことも。会の責任者の板津博之議員(48)は「子育て世代との関わりが少ない議員もいる。懇談会で色々な立場の意見を聞き、政策に反映できるかを検討し、その結果を市民に報告することが大事だ」と話す。

 法政大の広瀬克哉教授(地方自治論)は「自治体の政策の最終決定機関は議会。首長と違い、性別や世代、職業が異なる議員で構成される議会だからこそできることがある。行政監視と政策立案で議会の力が求められている」と指摘する。

 ◆地方分権一括法 中央集権的な行政のあり方を見直し、地方分権推進を求める声を受けて成立。自治体が特定の目的に使用する法定外目的税を新設できるなど、地方への権限移譲が進んだ。地方議会でも議案提出に必要な議員数が定数の8分の1以上から12分の1以上に緩和され、独自の条例案を提出しやすくなった。

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529332 0 統一地方選2019 2019/04/10 05:00:00 2019/09/19 15:10:12 ファイルを整理しながら同僚と談笑する石井さん(3月20日午後2時5分、静岡県富士市瓜島町で)=鍜冶明日翔撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190409-OYT1I50102-T.jpg?type=thumbnail

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