[地方議会 問う]<下>「よそ者」議員 地域刺激

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移住者の仲間らと地域の活性化策を話し合う栗谷さん(左)(3月6日、山梨県北杜市で)
移住者の仲間らと地域の活性化策を話し合う栗谷さん(左)(3月6日、山梨県北杜市で)

 「コミュニティースペースを作って、地元を盛り上げたい。物件を探しているんです」「応援するよ。人を紹介するね」

 山梨県北杜ほくと市の古民家で、3月上旬、市議の栗谷真吾さん(36)が、東京と郷里・北杜市との2拠点居住を目指す女性(28)の相談に乗っていた。栗谷さんは、2016年に、地域おこし協力隊から議員へ転身。地域住民と移住希望者との橋渡し役となる機会が増えた。

 人口減少に悩む地方では、Uターンなどで都市部から移住者を呼び込もうとする動きが広がり、若い移住者が議員として活躍する例も目立ってきた。

 東京で会社員をしていた栗谷さんは12年から地方暮らしを始め、その土地の魅力が集約される観光に興味を持った。15年度には移住地として人気が高い北杜市の協力隊員となったが、市に政策を提案しても採用されることは少なく、もどかしかった。

 より政策に関与できる議員への関心を強めて、市議選告示の3か月前に立候補を決めた。選挙資金は十分ではなかったが、手作りのチラシを配り、支持を広げた。当選後は、地元では当たり前すぎて見過ごされてきた秘湯の歴史を調べ、観光名所としてパンフレットで紹介するなど、移住者ならではの視点を生かした議会活動に取り組む。

 ブログやSNSは、議会や市政だけではなく、家族の話題などプライベートも織り交ぜ、親しみやすく議員生活をつづる。かつて海外旅行中に知り合った友人がそれを見て刺激を受け、1月に古里に近い高知県四万十町で議員となった。別の知人も14日告示される中国地方の市議選に立つ予定だ。

 「議員の輪が自分から広がっているならうれしい」

          ◇

 「この大災害で何もしない自分が許せなかった」

 宮城県女川町議の伊藤恵悟さん(45)は11年4月、東日本大震災で被災した町の支援を始めた。看護師として勤務していた地元東京と、町を往復して半年間、ボランティアで泥出しや在宅被災者の健康調査にあたった。

 10月、住民に請われて町社会福祉協議会の職員となると、仮設住宅の住民の悩み相談に乗ったり、イベントを企画して住民同士の交流を深めたりと、「ご用聞き」として駆け回った。

 それから4年。今度は出馬を請われた。「地元の人の方がよいのではないか……」と迷いながらも、無投票で当選した。鈴木公義副議長(60)は「親身で、人の話を中立的に聞く。客観的な情報に基づき一般質問をする。当然のことが、きちんとできていて刺激を受ける若手」と評した。

 3月末で、町の復興計画期間は終わった。「同世代はこれまで家族や仕事、目の前のことで手いっぱいだったはずだ。これから少しずつ、議員の仕事に興味を持つ人が出てきてほしい」。震災直後から、地域を支えてきた誇りがにじんだ。

 小田切徳美・明治大教授(農村政策論)は「被災地ボランティアや移住促進が定着し、住民も、以前よりよそ者を受け入れる土壌ができてきたのではないか。地方の閉塞へいそく感を打破する役割を期待したい」と話す。

 新たな力が地方議会を活性化させている。

 (宮下悠樹、鍜冶明日翔、児玉森生が担当しました)

 ◆地域おこし協力隊=自治体が都市部から移住する若者らを募集し、地域振興活動に取り組んでもらう制度。総務省が2009年度に創設し、18年度は5359人が全国で活動した。北杜市のほか、宮崎県高千穂町や熊本県五木村などで、議員となる元隊員が相次いでいる。

無断転載禁止
533076 0 統一地方選2019 2019/04/12 05:00:00 2019/09/19 15:10:10 移住者の仲間らと地域の活性化策について話し合う栗谷さん(左)(6日午後、山梨県北杜市内で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190411-OYT1I50087-T.jpg?type=thumbnail

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統一地方選挙2019 日程

前半選挙
3月21日(木) 知事選告示
3月24日(日) 政令市長選告示
3月29日(金) 道府県議、政令市議選告示
4月7日(日) 知事・道府県議、政令市長・政令市議選投票
後半選挙
4月9日(火) 衆院補選(大阪12区、沖縄3区)告示
4月14日(日) 市区長・市区議選告示
4月16日(火) 町村長・町村議選告示
4月21日(日) 衆院補、市区長・市区議、町村長・町村議選投票

※区長・区議は東京都特別区。

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