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自民党が夏の参院選の争点として、憲法改正を前面に押し出す動きを強めている。議員の理解を深めるため、昨年3月にまとめた4項目の条文案の勉強会を派閥ごとに開き、有権者向けに解説した漫画本も作成する。憲法改正の議論に消極的な野党との違いを浮き彫りにする狙いだ。
「日本国憲法の制定当時とは時代が変わった。新しい時代にふさわしいものにしようと自民党は提言している」。衆院憲法審査会で与党筆頭幹事を務める新藤義孝・元総務相は13日、所属する竹下派の勉強会でこう強調した。
派閥ごとの勉強会は、下村博文・党憲法改正推進本部長が先月、各派に要請して始まり、細田派、岸田派などがすでに行った。下村氏は「参院選は、憲法議論を進める議員を選ぶか、憲法議論に反対する議員を選ぶかが争点の一つだ」と強調する。
自民党の条文案は、〈1〉自衛隊の根拠規定の明記〈2〉緊急事態対応〈3〉参院選の合区解消〈4〉教育充実――についてまとめたものだ。派閥ごとの勉強会は、若手議員が党の主張を正確に有権者に伝えられるようにする狙いがある。
漫画本は若い世代の有権者に関心を持ってもらうため、20万部作成する。約40ページで、条文案を詳しく解説する。参院選候補や各都道府県連などに近く配布する予定だ。
自民党は今国会の憲法審査会での条文案提示を目指しているが、立憲民主党などの一部野党の抵抗を受け、困難な状況となっている。自民党幹部は「今国会では憲法論議は進まない」として、参院選後の臨時国会での仕切り直しに意欲を見せる。
そのためにも、自民党は参院選の争点に憲法改正を位置づけ、世論を喚起したい考えだ。安倍首相(党総裁)が掲げる2020年中の改正憲法施行を実現するには、秋の臨時国会で改憲論議を本格的に始める必要がある。
ただ、自民党内でも憲法改正の議論は盛り上がりを欠いているのも現実だ。若手の間には、「選挙で憲法改正を訴えて票につながるとは思えない」といった冷ややかな見方もある。
憲法争点に疑問…公明・北側氏
公明党の北側一雄・憲法調査会長は13日の記者会見で、国会での憲法改正議論推進の是非を参院選の争点とすることについて、「具体的に『こう見直すべき』という話ではないので、国民の皆さんから見てピンと来ないのではないか」と述べた。自民党内の憲法を争点化しようとする動きに疑問を投げかけたものだ。