完了しました

夏の参院選を前に政府・与党が危機感を強めている。老後資金の「2000万円不足」問題や、防衛省による地上配備型迎撃システム「イージスアショア」配備に関する調査の誤りなどが発覚し、野党が追及の構えを強めているためだ。
「老後の資金問題と年金の問題が混同されている。政府には、あらゆる機会に説明を尽くしてほしい」
公明党の斉藤幹事長は17日昼、国会内で開かれた政府・与党協議会でこう述べ、老後に年金収入以外に2000万円の資金が必要とした金融審議会(首相の諮問機関)の報告書に関し、説明責任を果たすよう求めた。
これに対し、菅官房長官は「冷静に丁寧に、不安をあおることなく、しっかり説明していきたい」と応じた。
この日午後、自民党本部で開かれた全国幹事長会議では、イージスアショアの配備地選定を巡る調査ミスに懸念が示された。
配備予定地を抱える秋田県連の佐藤雄孝幹事長が「県民の信頼を損なっている。選挙間近に地方にマイナスになるような環境を作ってほしくない」と防衛省を批判。岸田政調会長は「信頼回復のために党本部としても問題に真剣に取り組む」と釈明に追われた。
佐藤氏は終了後、記者団に参院選への影響について、「若干ある。不安を
与党がこれらの問題に過敏になるのは、野党が終盤国会や参院選で追及の柱に据えようとしているためだ。
特に金融審議会の報告書への懸念は大きい。安倍首相にとっても、第1次内閣時代の2007年に「消えた年金問題」が発覚して国民の反発を招き、その後の参院選で自民党が惨敗した苦い記憶があるからだ。与党内では「安倍内閣にとって年金問題は鬼門だ」(自民党中堅)という警戒感が広がっている。
野党各党はこれらの問題に加え、首相の対イラン外交も争点化する構えだ。
首相は全国幹事長会議の冒頭、「政策を前に進めていくためにも政治の安定が必要だ。まなじりを決して参院選を勝ち抜こう」と結束を呼びかけた。07年参院選後の政治状況に触れ、「悪夢のような民主党政権ができた。再びあの時代に戻すわけにはいかない」とも訴えた。
ただ、首相は金融審議会の報告書やイージスアショアの配備地選定をめぐる調査ミスの問題については触れなかった。自民党内からは「もっとしっかり説明してほしかった」(中堅)との声も漏れた。