[視点 参院選2019]<5>今の国会 制度に限界…大石眞 京都大名誉教授

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 おおいし・まこと 専門は憲法、議会法、宗教法、日本憲法史。九州大、京都大各教授、参議院の将来像を考える有識者懇談会、衆議院選挙制度に関する調査会各委員など歴任。67歳
 おおいし・まこと 専門は憲法、議会法、宗教法、日本憲法史。九州大、京都大各教授、参議院の将来像を考える有識者懇談会、衆議院選挙制度に関する調査会各委員など歴任。67歳

 今の国会を見ると、制度面で限界が来ている。国会全体のあり方を見直す視点が大事だ。野党の一部が国会改革両院協議会の設置を主張しているのは妥当だろう。

 国会改革としてペーパーレス化の推進が先の国会で合意されたが、大事な論点をスルーし、枝葉の議論をしている印象が否めない。

 衆参両院の選挙制度や両院制の仕組みをどう改革するかが課題だろう。衆参の立法権限をどう見直すか。これらは相互に関連する。

 衆院は2016年に、1票の格差を2倍未満に抑えるための持続可能性の高い制度改正をしたが、参院は選挙制度の抜本的な見直しができていない。参院の組織・構成をどうするかという問題が残り続けている。

 参院が法案を否決した場合、これを衆院が覆して成立させるには出席議員の3分の2以上が必要だ。この条件が妥当かどうか憲法上の論点がある。私は過半数に緩和してよいと考えるが、各党とも参院議員に遠慮して論点として取り上げない。それでは、数年前の「ねじれ国会」の教訓が生かされない。

 思うに、参院は衆院に比べて権限が弱い分、構成の仕方は、国民の直接選挙にこだわらなくてもいいのではないか。思い切って地方代表、あるいは有識者の府とするのも一案だ。それは参院が衆院のような「数」ではなく、「知恵」の場として存在意義を高めることにもなる。

 国会議員は憲法上、発議権を持つ。憲法制定当初は議員1人で法案を提出できた。お手盛り的な立法が続出したため、法案提出に一定以上の議員の同意を必要とする現在の国会法の規定ができたわけだが、いまだに縛りをかけることへの根本的な問い直しがあってしかるべきだ。

 国会審議の形骸化が指摘されて久しい。委員会の議論は総括質疑ばかりで、野党は政府の言動をあげつらう。だが、法案の審査はおざなりになっている。

 原因の一端は、政府提出法案の事前審査制にある。与党は法案提出前に各省幹部を呼んで、詳しく審査する。だが、透明性に欠け、その間、野党に情報は入らない。十分調整した上で提出するので修正の余地が小さく、野党の修正案は否決される。本来は修正の余地を残して提出したほうがよい。野党も修正ができれば存在意義を示せる。

 政府統制の手段として衆院は1998年、独自の予備的調査制度を開始した。40人以上の議員の要請で政府に資料提出や事情聴取を求めることができる。野党が行使できる少数派調査権であり、2007年の「消えた年金問題」では民主党が活用した。

 参院でも同じような仕組みを設けたらいい。野党は行政監視院を新設する法案を提出したが、機関を作るより、今ある手だてを縦横無尽に活用すべきだ。

 (聞き手・編集委員 笹森春樹)(おわり)

無断転載禁止
661211 0 参院選2019 2019/06/28 05:00:00 2019/09/19 15:40:10 大石眞・京大名誉教授。読売新聞東京本社で。2019年6月4日撮影。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190628-OYT1I50018-T.jpg?type=thumbnail

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