[党首に聞く 参院選2019]政治の安定 まず確保…公明党代表 山口那津男氏 66
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――選挙の争点は。
国際社会で対立や分断の流れがある中で、日本には対話による多国間協調を生み出し、具体的な協力の道を開いていく姿勢が求められる。国内でも人口減少、少子高齢化が世界で最も速く進む。そうした内外の大きな課題を前にした時、政治の安定確保が大前提だ。衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」や政権交代など、国民は二度と繰り返したくないとの思いを持っている。
――何を訴えるか。
10月の消費税率10%への引き上げは、国民に丁寧に理解を求めていく姿勢が大事だ。税の痛みを和らげ、景気を支える仕組みとして軽減税率を実施する。増収分の使い方を変更して、幼児教育の無償化、高等教育の一部無償化、私立学校授業料の実質無償化という「無償化の3本柱」を実行する。これらは公明党が昨年、100万人の訪問調査運動を行った際、最も多く寄せられた要望の一つだ。消費税率引き上げをお願いする立場で、身を切る姿勢を示すため、衆参両院議員の歳費10%削減を新たな公約として掲げた。
――野党は老後に年金以外で2000万円が必要とした金融審議会報告書の問題で攻勢をかけている。
野党が報告書をもとに公的年金制度への不安をあおるのは罪深い。民主党は政権を取る前、「年金制度は破綻する」などと声高に言ったが、政権を取った後は「制度はしっかりしている」と国民に呼びかけたはずだ。野党は「消えた報告書」と言っているが、ホームページで公表されている。(麻生金融相が)報告書を受け取る、受け取らないというのは本質的な問題ではない。長寿化が進む中で、年金だけで十分に暮らせると思っている人はあまりいない。貯蓄や、働いて収入を得る道も大事だし、医療費の個人負担を縮めていく努力も必要だ。
――参院選の目標は。
候補を立てる7選挙区全てで勝利し、比例選では6議席以上を獲得する。計13人以上の当選を目指す。とりわけ厳しいのが兵庫選挙区で、党のあらゆる力を結集して勝利したい。
――自公連立政権の中でどう存在感を示すか。
国民の幅広い声は自民党だけではくみ取りきれない。公明党は地方議員が多く、地域の声、国民の声を政権に反映させる機能を果たしてきた。
――自民党が憲法改正論議に意欲を示している。
憲法改正を掲げるのは各党の考え方で、否定することではない。しかし、国会での改憲議論に消極的か積極的かを選挙で問うべきかどうかについては疑問がある。むしろ、憲法審査会で与野党が議論できる環境を整えるのが各党の務めだ。憲法議論を深めたい政党には、謙虚な姿勢で議論できる土俵を作る責任がある。