【詳細版】公明党・山口那津男代表インタビュー

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インタビューに答える公明党の山口那津男代表(6月27日、党本部で)
インタビューに答える公明党の山口那津男代表(6月27日、党本部で)

 公明党の山口代表は、参院選(4日公示・21日投開票)を前に読売新聞のインタビューに応じた。発言の詳細は次の通り。

ダブル選見送り「妥当」

 ――衆参同日選は見送られ参院選単独となった。どう評価するか。

 参院選に集中するという安倍首相の判断は妥当だと思います。大阪市での主要20か国・地域(G20)首脳会議を成功させる意味でも、衆院を解散していると、衆院議員の身分がなくなり、いずれ総辞職する内閣ということになります。世界の首脳をお迎えする日本の対応としては、いいことではありません。

 参院選に集中すれば、自民、公明両党の選挙協力の効果を最大限に発揮できます。公明党としても衆参同日選を行う場合の不都合を申し上げてきましたが、悔いなく参院選にまい進できる環境が整ったと思います。

「政治の安定」重要

 ――選挙の争点は。

 令和という新しい時代になって初めて行われる国政選挙となります。新しい時代の日本や国民のありようを形作っていく極めて重要な選挙だと思います。これまでの自公連立政権の取り組みの評価もなされると思います。

 いま日本が直面している大きな課題を考えた時、国際社会においては対立や分断の流れがあります。また一方で対話による多国間協調を求める動きも強い。

 そうした中で日本の生き方としては、自らが対話による多国間協調を生み出し、具体的な協力の道を開いていく姿勢が求められます。しっかり国際社会をリードしていくためには政治の安定という強い基盤が必要となる。それを、確保する選挙です。

 国内の課題を見ても、人口減少、少子高齢化が世界で最も早く進んでいる。社会保障、国民皆年金・皆保険のような制度を維持しながら、生活水準を保って、日本の優れた技術やもの作りの伝統を生かした国際的な競争力も培いながら、乗り越えていくという極めて大きな課題に直面しています。

 そうした内外の大きな課題を前にした時、政治の安定を確保するということが大前提だと思います。ねじれや政権交代、短命な政権の連続。こうした不安定には国民は非常に二度と繰り返したくないという強い思いを持っていると思います。そうした国民の期待に応える安定政権を作っていかなければなりません。

軽減税率「最も効果」

 ――公明党は選挙戦で特に何を訴えるか。

 10月に予定される消費税率10%への引き上げには、国民の不安や反対も根強くあります。自民、公明、民主の3党合意に基づいた政策実行ではありますが、国民に丁寧に理解を求めていく姿勢が大事です。

軽減税率対応の製品をPRする企業のブース(大阪市内で)
軽減税率対応の製品をPRする企業のブース(大阪市内で)

 消費が落ち込まないように景気を支える仕組みとして軽減税率が、最も効果のある実証済みの政策ということで、これを初めて実施します。

 消費税の増収分を使い方を変更して、子育て支援、教育の負担の軽減を大幅に拡大します。税率引き上げと同時に幼児教育の無償化を行い、来年からは大学、短大、専門学校など高等教育の一部無償化、さらには私立学校の授業料実質無償化という、いわゆる「無償化3本柱」を、大幅に拡大して実行します。

 これは公明党が昨年、100万人の訪問調査運動、つまり国民の声を聴くことを展開した結果で、最も強かった要望の一つです。

議員歳費10%減目指す

 また、消費税率引き上げをお願いする立場である国会議員は、自らも身を切る政治姿勢を取るべきで、衆参両院の国会議員歳費の10%削減を新たな公約として掲げました。具体的な政策を進めるにあたっては、国民の声を聴くという政治姿勢から生まれた政策でなければ共感を得られないと思います。

野党の年金批判「罪深い」

 ――野党は老後に年金以外で2000万円が必要とした金融審議会報告書の問題で攻勢をかけている。

 野党が、人生100年時代の暮らし方についての金融審議会の報告書をもとに、「老後2000万円の蓄えがないと年金だけでは不足する」といったようなキャンペーンを張り、公的年金制度への不安をあおるというのは極めて罪深いと思います。

 かつて民主党が政権を取る前には不安をあおり立て、「年金制度は破綻する」などと声高に言いました。自公両党で進めたいわゆる「年金安心100年プラン」やマクロ経済スライドの制度化に強く反対しました。

高齢者らの生活を支えている公的年金の手帳。社会保障の問題は、参院選でも重要テーマになっている(都内で)
高齢者らの生活を支えている公的年金の手帳。社会保障の問題は、参院選でも重要テーマになっている(都内で)

 しかし政権を取った後は、マクロ経済スライドは正しいと認めて、現行制度は「しっかりしている」「安心してください」と、国民に呼びかけたはずです。

 民主党の年金批判を真に受けて、「年金保険料を払ってもムダだ」と言って支払いをしなくなった国民が少なからずいました。今になって、年金支払いをしない期間を作ってしまったことに、後悔しているという国民が少なからずいるわけです。だから不安をあおることは罪深い。

 野党は「消えた報告書」と言っていますが、ホームページで公表されています。(報告書を受け取らなかった麻生金融相の)姿勢には問題はあるけど、報告書を受け取る、受け取らないというのは本質的な問題ではないと国民は受け止めていると思います。

 これから長寿命化が進んで行く中で、年金だけで十分に暮らせると思っている人はあまりいません。年金は柱の一つになるけれども、どうやって長寿命化しても暮らせる生活、ライフスタイルを作っていくかが大事です。

 そのためには年金だけではなくて、貯蓄や働いて収入を得る道を広げるということも大事でしょうし、医療費の個人負担を縮めていく努力が必要です。まだまだこの分野は議論が足りない。これから責任感をもって国民が希望を持てるような議論をするのが政治家の責任だと思います。

13人以上の当選目標

 ――公明党の参院選での目標は。

 選挙区では全国で埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡と7選挙区に候補を立てます。この7選挙区をすべて勝利する。

 比例選では6人を全国で地域割りして運動を展開していますから、この6人は必ず当選させ、それ以上の当選を目指して計13人以上の当選を目指します。

 7選挙区のうち、地盤の強い東京と大阪を除いた5選挙区を重視しています。その中でもとりわけ厳しいのが兵庫選挙区です。改選定数が3しかない中で、有力候補がひしめき、勝ち抜くのは極めて容易なことではありません。そこに党のあらゆる力を結集して勝利したいと思っています。

「自民だけでは国民の声くみ取れない」

 ――公明党は自公連立政権の中でどう存在感を示すつもりか。

 (自公連立が始まった1999年以降)協力関係を一つひとつ確かめながら関係を深めてきました。試行錯誤の過程を経て、大事なことはまずやっぱり政権の安定を作り出していく。そういう経験、知恵を重ねたということです。

 ぎこちなさがあったり、政策面でぶつかりあうという面があったりすることもありました。しかし、それでは政権として前に進めることはできないということで、議論を尽くして合意を作るということを丁寧にやってきました。

 与党だから、決定をするときには、それぞれの党で議論して、与党で政策責任者会議などを開いて合意をします。そうでないと政府は独断では何もしないというスタイルを確立しました。公明党の主張もお互いに妥協する中で反映できるという実績を積み重ねてきたわけです。同時に選挙協力も行って関係を深化させてきました。

 国民の幅広い声は自民党だけではくみ取りきれません。公明党は、地方議員も自民党よりも党所属の議員の数は多い。そして、いつも国政との連携を強く持っている。そうしたことが、地域の声、国民の声を受け止め、政権の政策に反映させる機能を果たしてきたと思っています。

まずは憲法議論できる環境整備を

1946年11月に公布された日本国憲法の原本
1946年11月に公布された日本国憲法の原本

 ――自民党が意欲を示す憲法改正論議にどう臨むか。

 憲法改正について参院選のテーマに掲げて、国民に訴えるというのは、それぞれの政党の考え方で、否定することではありません。しかし、何か国民に選択を迫るような課題がきちんと提起されているか、熟しているかという点では、いささか無理があると思います。違いがどこかと言えば、国会での憲法改正の議論、憲法審査会での議論に対して、消極的か積極的かというぐらいで、それは選挙で問うべきことがどうか疑問があります。

 むしろ、憲法審査会で与野党がきちんと議論できるような環境を整えるというのが、議員や各政党の務めです。憲法議論を深めたいという政党にはなおさら、謙虚な姿勢で議論できる土俵を作る責任があると思います。それが本当に尽くされたかどうか、謙虚に顧みる必要があると思います。

 そういう土俵が整って、さあ、どこをどうするかというのはもっとその先にあることです。きちんと虚心坦懐(たんかい)に、国会の憲法審査会でとにかく議論を深めると。土俵にちゃんとみんなが乗れるようにするということが、まず一歩だと思います。

 野党のみなさんも、これは憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案については合意できているところが多い。にもかかわらず、これですら前に進まないというのはいかがなものかと思います。合意できているところはきちんと合意に従って結果を出すということから始めるべきではないでしょうか。

無断転載禁止
670175 0 参院選2019 2019/07/03 12:43:00 2019/09/19 15:40:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190703-OYT1I50035-T.jpg?type=thumbnail

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