[参院選2019]暮らし・憲法 舌戦…党首討論会の詳報

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党首討論会に臨む与野党の党首ら(3日午後、東京都千代田区で)=萩本朋子撮影
党首討論会に臨む与野党の党首ら(3日午後、東京都千代田区で)=萩本朋子撮影

 日本記者クラブで3日に行われた与野党7党首らによる討論会の主な内容は次の通り。自民党は安倍首相(党総裁)、公明党は山口代表、立憲民主党は枝野代表、国民民主党は玉木代表、共産党は志位委員長、日本維新の会は松井代表(大阪市長)がそれぞれ出席した。社民党は又市党首の体調に配慮して吉川幹事長が代理出席した。

自民 安倍総裁
自民 安倍総裁
公明 山口代表
公明 山口代表
立民 枝野代表
立民 枝野代表
国民 玉木代表
国民 玉木代表
共産 志位委員長
共産 志位委員長
維新 松井代表
維新 松井代表
社民 吉川幹事長
社民 吉川幹事長

決意の一筆

 討論会の冒頭、各党首らは参院選で「一番訴えたいこと」を手書きしたボードを掲げ、視聴者にアピールした。

 安倍首相(自民党総裁)は「政治の安定」と書き、連立を組む公明党とともに参院の過半数を維持する決意を示した。公明党の山口代表は「小さな声を聴く力」と記し、国民の要望をすくい上げ、政策に結びつける姿勢を強調した。

 野党第1党の立憲民主党の枝野代表が掲げたのは「生活防衛」。非正規労働者や高齢者、子育て世帯の生活支援を重視する考えを示した。国民民主党の玉木代表は「家計第一」と記し、家計支援に重点を置いた経済政策への転換を訴えた。

 共産党の志位委員長は「くらしに希望を」と書き、消費税増税の中止や最低賃金の引き上げなどの公約を紹介した。日本維新の会の松井代表は「身を切る改革 消費税凍結」。国会議員自らが身を切る必要性を強調し、他党との差別化を図った。社民党の吉川幹事長は「憲法をかす 支えあう社会」と書き込み、「護憲」の立場から社会保障の充実を目指す姿勢を示した。

年金「打ち出の小槌」ない…安倍氏/野党「増税凍結」では一致…枝野氏

 冒頭発言

 安倍氏 九州を中心に記録的な大雨が続いている。警察、消防、海上保安庁に加えて自衛隊は1万4000人の即応態勢を敷いて万全の態勢を取っている。油断せずに市町村の避難勧告等に従って早め早めに避難し、命を守るための行動を取ってください。

 我が党は「政治の安定」を訴えていきたい。

 山口氏 政治の安定と並んで重要なことは、国民の声を聴くことだ。公明党は小さな声であっても、それを形にする。国会議員と地方議員のネットワークを生かして政策を実現する。そういう実践をしている。小さな声を聴く力があるということが、政治に信頼と希望を生むと思っている。

 枝野氏 企業収益などは上がっているが、実質賃金が下がっている方、非正規雇用が固定している方、年金だけでは暮らせない高齢者、安心して子どもを産み育てることができない皆さん、生活の不安を抱えている方がたくさんいる。こうした皆さんの生活を防衛するための第一歩を示す選挙にしていきたい。

 玉木氏 アベノミクス(安倍首相の経済政策)に代わる政策として「家計第一」の経済政策を訴えたい。好循環の出発点を変えたい。出発点を家計に置いて、家計を徹底的に豊かにして消費する力を高め、消費を活性化することによって消費を軸とした好循環をつくり上げる、新しい経済政策を打ち上げていきたい。

 志位氏 消費税10%ストップ、「くらしに希望を」と訴える。7兆円もの年金削減をやめさせ、低年金の底上げをやる。最低賃金1500円など、8時間働けば普通に暮らせる社会をつくる。高すぎる国民健康保険料を引き下げ、くらしを支える社会保障を築く。大学の学費は直ちに半分無料を目指す。財源は富裕層と大企業への優遇税制を正して賄う。

 松井氏 2012年、自民党、公明党、民主党が復興増税と消費税の増税を決定した。その時、国民と約束したのは、国民に負担を求める限りは国会議員も今の身分を改めるということだった。この約束が7年たって、反故ほごにされたままだ。我々はその約束を守っている。身を切る改革なくして消費税の増税、これを止めていきたい。

 吉川氏 今、必要なことは憲法を変えることではなく、守りかすことだ。これを強く訴えていきたい。企業は大変、利益を上げている。一方で、国民の間には生活、将来に対する不安がかつてないほど広がっている。政府からは自己責任、自助努力という言葉が聞かれる。政治が国民に自己責任を問うのは責任放棄だ。安心の社会保障をつくっていくことを訴えていきたい。

「減らない年金」に…志位氏/1票格差解消 定数減で…松井氏

 党首間質疑

 ■消費増税

 山口氏 教育無償化や子育て支援を野党各党が公約に掲げているが、財源が明確ではない。野党が統一候補を立てる中で、責任ある財源論を示すべきだ。

 枝野氏 野党各党は消費税を当面上げられる状況にはないということでは完全に一致している。稼いだ企業に法人税を払っていただき、金融所得課税の累進性を強化していくことによって財源を確保したい。

 ■老後の生活支援

 枝野氏 年金の少ない方、貯蓄のない高齢者はどうすれば良いのか。

 安倍氏 消費税を財源に、所得の低い方に年最大6万円の給付金を支給する。介護保険料も3分の2に低減する。無年金の方には、払込期間を25年から10年に短縮した。

 玉木氏 給付金で本当に貧困高齢者を救うことができるのか。

 安倍氏 残念ながら、負担を増やすことなく年金給付額を増やしていくといった「打ち出の小槌こづち」はない。年金の給付を支えているのは現役世代の保険料と税金だ。その中で一人ひとりに光を当てながら、できる限りの支援をしていきたい。

 玉木氏 私たちは、最低でも月額5000円を支援が必要なところに届けようと提案している。約600億円が必要だが、金融所得課税の強化で捻出できる。

 志位氏 安倍さんは(公的年金の給付伸び率を抑制する)マクロ経済スライドで年金を実質7兆円減らすと言っている。マクロ経済スライドは廃止し、「減らない年金」にすべきだ。

 安倍氏 マクロ経済スライドの仕組みは、現役世代の負担を抑制し、将来の給付を確かなものとするために今から調整を行っていくというものだ。廃止すると、今40歳の方が年金をもらう段階になって年金の積立金は枯渇する。調整機能を生かして初めて(年金制度は)持続可能になっていく。

 志位氏 私たちは積立金をすぐ全部崩せとは言っていない。高齢化のピークを過ぎた後ぐらいまで計画的に活用しようと言っている。

 ■身を切る改革

 松井氏 公明党も公約で身を切る改革を掲げているが、今回の参院定数の6増をなぜ認めたのか。

 山口氏 「投票価値の不平等」という非難を免れるためにはやむを得ないという立場で認めた。しかし、定数増に伴うコストは国民負担に回すべきではない。消費税の負担を国民にお願いするからには、衆参ともに削減をしていく必要があるという立場で、10%の歳費削減を提案している。

 松井氏 1票の格差の問題は、定数を削減して成し遂げるべきだ。

 ■中東情勢

 吉川氏 米国とイランとの間で大きな戦争が起こった場合には、米国から自衛隊の出動を要請されるのではないか。その場合、どのように対応するつもりか。

 安倍氏 今後、緊張緩和に向けて絶対に武力衝突が起こらないように、日本としての役割を果たしていきたい。仮定の質問だが、日本は憲法と法制の範囲内で世界の平和と安定を守るために正しく行動しているということに尽きる。

 吉川氏 2015年に成立した安全保障法制によって集団的自衛権の行使が一部容認されるようになった。自衛隊派遣の要請を拒否することは非常に難しくなってくると思う。

格差是正へ法人税改革…玉木氏

 ■野党共闘

 安倍氏 野党が(改選定数1の選挙区で)候補者を1人に絞るにあたって、「自衛隊が合憲か違憲か」という最も大切な点は統一すべきではないか。共産党は、自衛隊は憲法違反だというのが明確な立場だ。

 枝野氏 今、国民生活が大変、危機的な状況に追い込まれている。生活防衛の共闘として、「1人区」で候補者を一本化した。5党1会派の候補者一本化のプロセスにおいては、集団的自衛権の一部行使容認は明確な憲法違反であり、安全保障法制は廃止するという点で一致している。

 安倍氏 志位さんはマクロ経済スライドを廃止すると言っている。枝野さんは民主党政権時代も維持してきたから、維持するという考えなのだろう。もし基本政策が統一されていないのであれば、非常に不誠実だ。選挙が終わった後、またバラバラになっていくのではないか。

 枝野氏 5党1会派で新しい党を作っているわけではない。それぞれ考え方の違う党だということを前提に候補者を1人に絞っている。有権者に、相対的に一番考え方の近い方を選んでいただくのは選挙の現実だ。

 ■原発・エネルギー

 枝野氏 原発ゼロ法案を提出しているが、与党は審議に応じていない。

 安倍氏 原発ゼロは責任あるエネルギー政策とは言えない。多くの原子力発電所が止まっていることによって、一般家庭で平均2万2000円の負担増が生じている。二酸化炭素(CO2)の削減をしなければいけないという義務も負っている。エネルギー自給率の問題もある。

 ■税制改革

 玉木氏 格差是正のための法人税改革と(巨大IT企業の)「GAFAガーファ」に対する規制、特に課税強化を行うべきだ。

 安倍氏 あるべき税の姿を追求していきたい。デジタル時代の課税のルール作りも行っていきたい。

 ■日米安全保障条約

 志位氏 米軍のために血を流して戦う自衛隊にしていくことに、安倍さんの憲法9条改憲の本当の狙いがあるのではないのか。

 安倍氏 本当の狙いはそこではない。トランプ米大統領には憲法や安保条約の範囲内で日本のできることについて話している。自衛隊の存在を明確に憲法に位置づけることは防衛の根本だ。

 ■沖縄基地問題

 吉川氏 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設にこだわる限り、普天間の返還は遠のくのではないか。米国と再交渉すべきだ。

 安倍氏 学校や住宅で囲まれた「世界一危険」と言われる普天間飛行場の固定化は断じてならない。

 ■ハンセン病訴訟

 吉川氏 熊本地裁でハンセン病の元患者家族の被害について国の責任を認め、賠償を命じる判決が出た。控訴を断念すべきだ。

 安倍氏 患者、ご家族の皆さんは人権が侵害され、大変つらい思いをしてこられたと思う。判決はよく精査しなければいけないが、我々は本当に責任を感じなければならない。真剣に検討して判断したい。

改憲 与野党超え議論…山口氏/護憲を党是 崖っぷち…吉川氏

 記者クラブ質疑

 ■政治姿勢

 ――野党からの予算委員会の開催要求を断る。老後に年金以外で2000万円が必要とした金融審議会の報告書も受け取らない。何で横綱相撲を取らないか。

 安倍氏 予算委員会には今年、125時間出ている。それなりの責務を果たしていると考えている。

 報告書は平均の姿を示した。年金生活者の実態は人それぞれであり、そこに焦点を当てて政策を作っていくことが大切だ。政策を立案していく上で不適切だという判断を麻生財務相がされたということだ。

 ■政権交代

 ――野党第1党に政権奪取の気迫が感じられない。

 枝野氏 大きな国家としてのビジョン(展望)を示して、そこに向けた第一歩を示す参院選にしたい。一度、(民主党政権で)期待に応えられなかったという反省と教訓を踏まえて、しっかりと期待に応えられる政権運営ができる準備を着々と進めている。

 ■共産党の路線

 ――現実路線まっしぐらではないか。自衛隊や天皇制など過去の主張と、どう整合性をつけるのか。

 志位氏 私どもは一貫した歴史を持っている。その歴史の筋を守りながら、今の情勢で柔軟な対応もやる。原則性と柔軟性を両立してやっている。

 ■社民党

 ――存在意義は。

 吉川氏 今回の参院選は崖っぷちの戦いだ。得票率2%をクリアできなければ、国政政党として存続できなくなってしまう。社会党の結党以来、護憲を党是としてきた。そういう政党が小さくても残っていく必要がある。

 ■消費税・社会保障

 ――消費税率10%で終わりなのか。さらにその先も議論するのか。

 安倍氏 安倍政権で消費税をこれ以上引き上げることは全く考えていない。

 ――未来永遠にか。

 安倍氏 私が責任を持てるのは安倍政権だが、予見できる、例えば、今後10年間くらいは必要ないと私は思っている。

 ――枝野氏は民主党時代に3党合意(消費増税による社会保障の充実と財政健全化を目指した合意)に加わっていたが、消費増税の凍結を主張している。消費増税は必要ないのか。

 枝野氏 結果的にあの判断は間違っていた。法人税率の引き上げなどで当面はやっていくべきだ。

 ■憲法改正

 ――参院選の獲得目標を与党で過半数と言っているが、どうやって憲法改正するのか。

 安倍氏 与野党で(憲法改正の国会発議に必要な)3分の2を形成する努力をしていきたい。日本維新の会にもお願いしたい。国民民主党の中にも憲法改正に前向きな方々もいる。そういう中で合意を形成していきたい。

 ――公明党の内心は安倍さんの憲法改正を迷惑だと思っているのではないか。

 山口氏 自民党が憲法改正を主張するのは、政党の立場としてあっていいことだ。もっと与野党の枠を超えて議論をしっかりと深めて、国民の認識を広めることが大事だ。そのことを強く主張している。

 ――憲法改正論議をどうしていく考えか。

 玉木氏 国民民主党は憲法については、議論していこうという立場だ。国民投票法の改正は具体的な改正案をまとめている。議論を早くしてもらいたい。

 松井氏 9条は自民党が出してきたら正面から議論する。安倍氏が首相だから議論しない、というのは無責任極まりない。

 枝野氏 私は「安倍首相のもとでは(議論しない)」という言い方はしていない。憲法違反の安全保障法制が強行採決されて、現に存在している。まずは、これを憲法に適合した形に戻さないと議論のしようがない。今の違憲の状況を棚上げしておいて、その条文を変えますというのは、これこそ無責任な議論だ。

無断転載禁止
671624 0 参院選2019 2019/07/04 05:00:00 2019/09/19 15:39:56 党首討論会に臨む与野党の党首ら(3日午後2時31分、東京都千代田区で)=萩本朋子撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190703-OYT1I50078-T.jpg?type=thumbnail

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