【詳細版】立憲民主党・枝野幸男代表インタビュー

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インタビューに答える立憲民主党の枝野幸男代表(6月26日)
インタビューに答える立憲民主党の枝野幸男代表(6月26日)

 立憲民主党の枝野代表は、参院選(7月21日投開票)を前に、読売新聞のインタビューに応じた。発言の詳細は次の通り。

所得の底上げ目指す

 ――参院選の争点は。

 「暮らし安心回復選挙」にしたい。老後に年金収入以外に2000万円が必要とした金融審議会の報告書で、ますます暮らしの不安が高まっている。企業を起点とした経済から、所得の底上げを起点とする経済に転換していく。「暮らしの安心を回復させるにはどうしたらいいか」が有権者の最大の関心事であり、選挙の最大の争点だ。

 同調圧力の強い画一的な社会から、多様性を力にする社会に変えていくことも争点だ。従来なら国政選挙にチャレンジしてくれなかったであろう多様な方に参院選に出てもらう。我々が目指す社会の姿を立候補予定者のリストで示すことができる。

 候補者の男女比率も完全に5対5にはなっていないが、4割を超える女性候補を擁立し、このこと自体が我々の姿勢を示しているつもりだ。

最低賃金1300円が目標

 ――経済政策を公約の柱に据えた。

 家計消費が伸びないため不況になっている。消費不況という構造が30年近く続いているという本質と向き合わなければいけない。5年以内の最低賃金1300円の実現、残業代の完全支払いなど、所得を増やすことで、国民の安心を高める。社会保障と成長戦略はもはや不可分一体だと考えている。これがアベノミクスに代わる明確な選択肢だ。

 ――消費税増税の凍結を公約に盛り込んだ。将来的にどう考えているのか。

 どのような将来の可能性も否定しないが、当面想定される未来を考える時に、当分の間は凍結解除できないと思っている。

 持続的に消費が伸びる構造を取り戻すには相当な時間がかかる。税の使い方の信頼回復も一朝一夕にできることではない。日本は直接税の比率が高すぎるとして消費税が導入されたが、現状では逆転現象が起きており、見直さないと納税者の理解は得られない。これらの条件がそろわない限りは、凍結解除はできないと思っているので、近未来に凍結解除することは不可能だ。(解除まで)10年単位だ。

低年金者に税投入必要

 ――公約では年金の最低保障を掲げている。具体的には。

 基本的には、国民年金の皆さんを中心として、低年金の皆さんをどう段階的に財源を確保しながら税によって底上げしていくかだ。これには大きな財源がいる。特に、国民年金を満額さえ受け取っていない状況の人たちは、結局、生活保護に回ってしまう。その方が財政的な負担は大きくなるし、本人にとっても必ずしも望ましくないので、国民年金を満額受け取っていない皆さんから底上げをしていく。

医療、介護の負担総額に上限

 我々は同時に、むしろ先行させて、(医療や介護などの自己負担の合計額に上限を設ける)総合合算制度により、低年金の皆さんの自己負担の上限を大幅に下げるということで、両面から安心をしてもらう。

 ――最低保障は具体的にどのくらい上げるのか。

 財源を確保しながら段階的にやっていかないといけない。従って、10年、20年先の目標ということなら示せるかもしれないが、今問われているのは、できるところから順次進めていくことだと思っている。「1年でこうだ」とか「3年でこうだ」ということを示すのは、かえってミスリードすることになるのではないかと思う。

「令和の民主主義」

 ――「令和デモクラシー」を打ち出した。

 平成の間に積み重なってきた政治と現実社会のずれが、許容しきれないほど大きくなってきている。高齢化や人口減少が進み、経済が低迷し、社会がより多様になっている。こうした現実に対応するには、「お任せ民主主義」という側面が強い日本の民主主義から、参加型の民主主義へとバージョンアップしなければいけない。

 大正デモクラシーでは、男性だけとはいえ、普通選挙が実現し日本の民主主義は大きくバージョンアップした。日本にとって大きな前進だった。それに匹敵するか、もっと大きな現実社会と政治のずれに我々は直面している。元号が変わった節目の機会に、転換していかなければならない。

安倍内閣「憲政史上最悪」

 ――安倍内閣の評価は。

 民主主義と立憲主義の観点から、憲政史上最悪と言わざるを得ない。公文書管理や情報公開に象徴される民主主義の基盤を根底から破壊し続けている。その影響で、日本の官僚システムが機能不全を起こし、政治へ忖度(そんたく)せざるを得ない中で不祥事が相次いだ。

 回復させるには10年単位の時間が必要だ。おかしいと声を上げた政治勢力が存在したことを後世に残さなければならない。

集団的自衛権は「憲法違反」

 ――憲法改正については。

 立憲主義を強化する観点から、内閣の解散権制約や国民の知る権利の拡充などについて、改正も視野に入れた積極的な議論を進めていきたいと一貫して言ってきた。国会の憲法審査会での議論についても、国民投票法改正案の有料広告規制の審議を自民党が拒否している。集団的自衛権の「一部行使容認」は憲法違反であり、それを追認するような憲法9条の改悪とは徹底的に戦う。

 今多くの皆さんが抱えている将来不安、あるいは暮らしがよくならないという思いに答えていくことこそが今政治に求められていることだと思っている。争点になるかどうかは有権者が決めることだ。

政権交代の足場作りたい

立憲民主党など野党5党派の幹事長と書記局長らは6月13日、国会内で会談し、参院選で全国32の「1人区」すべてで候補者の一本化を行うことを正式に確認した
立憲民主党など野党5党派の幹事長と書記局長らは6月13日、国会内で会談し、参院選で全国32の「1人区」すべてで候補者の一本化を行うことを正式に確認した

 ――参院選の勝敗ラインは。

 立候補してくれた全ての方に勝ってもらえるように頑張るということに尽きる。この選挙で、近い将来の政権交代に向けた足場をしっかりと作っていきたい。

 32ある1人区は安倍政権に対する「ノー」の声を1人に集めることで、それを可視化させたいということだ。やはり、1人区全ての皆さんが当選できるように全力で頑張りたい。

 ――1人区では野党統一候補を立てた。

 1人区において、よりましな方はどっちなのかという選択を可能にする必要性があると思っている。1人しか選ばれないところでは、よりましなのはどっちですかという選択肢を示すという意味で1人区は一本化する必要があるというのは一貫した持論だ。

 その代わりに、比例選や複数区においては、各党が切磋琢磨(せっさたくま)して、ベストが何かということをやって下さいということだ。

共産と自民候補「どちらがましかで選択を」

 ――共産党と調整したことに批判的な見方もある。

 共産党候補に一本化された選挙区では、2人の候補者でよりどちらがましかという選択を有権者の皆さんにお願いする。共産党支持ではない、我々の支持者の皆さんで、そういう選挙区の皆さんには、それでもちゃんと比例選では皆さんの考え方に近い選択肢を我々はしっかりと責任を持って提供しているので、そこは(選挙区選と比例選の)2票は意味が違うので使い分けて下さいということだ。

地域事情に応じて支援

 ――1人区では立民公認の選挙区もあれば、無所属のところもある。どう支援していくのか。

 党本部としての形式的なコミットのあり方は、党のそれぞれの建前というのがあるが、むしろこれからは地域の事情に応じて、そうした形式的なものにかかわらず、最大限のことをやっていく。

 国会を閉じて最初の地方遊説は国民民主党の玉木代表のおひざ元の香川からスタートしたように、それぞれの地域の要望に応じて、我が党公認に限らず、日程が合って、要望があれば応援に入りたい。

 ――野党が擁立した無所属候補は当選後はどうすべきか。

 無所属の方にも色んなケースがあるので、ケース・バイ・ケースだと思っている。参院議員として何をしようとしているのか、どういう理念のもとで活動しようとしているのかということは明確にお示ししないといけない。ただ、政治は現実の動き、時間の関数なので、それぞれの地域における様々な経緯、事情を踏まえながら対応が決まっていくんだろうと思う。

他党と合併「あり得ない」

 ――参院選後の野党結集の可能性は。

 選挙の前も後も我々が他の政党と合併することはあり得ないということは変わらない。我が党の理念、政策に賛同してもらえる個人については懐深く、一緒にやらせてもらいたい。この姿勢は選挙の結果にかかわらず変わらない。

 ――党首討論や内閣不信任案の趣旨弁明などでなぜ衆院解散を求めなかったのか。

 解散するかどうかは、憲法の解釈としては、内閣の専権事項だ。解散の大義があるかどうかは選挙を通じて、有権者が判断するということなので、野党の行動で大義があるとかないとか言うこと自体が憲法の解釈としておかしい。

野党の「切り札」である内閣不信任決議案は6月25日、衆院本会議で採決され、与党と日本維新の会などの反対多数で否決された
野党の「切り札」である内閣不信任決議案は6月25日、衆院本会議で採決され、与党と日本維新の会などの反対多数で否決された

 内閣不信任決議案を出しても解散しなかったのは、解散の大義がないと重々分かっていたからだろう。

 ――衆参同日選の観測が強まっていた。

 同日選があるだろうという想定でこの間、動いてきた。候補者擁立作業も調整も同日選のつもりで進んできたので、同日選をあおっていただいたのはありがたかったかなと思っている。

立民、想定超え前進

 ――結党から1年半。成長した点と足りない点は。

 思った以上に地方組織も出来たし、地方議員も増えた。それは当初の想定をはるかに超えるスピードだ。課題があるとすれば、想定を大幅に超える前進である一方、野党第1党として期待されているところとのギャップがまだまだ大きい。何よりも必要なのは、色んな意味での層の厚さだと思っている。

無断転載禁止
673985 0 参院選2019 2019/07/05 12:41:00 2019/09/19 15:39:41 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190705-OYT1I50029-T.jpg?type=thumbnail

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