【詳細版】共産党・志位和夫委員長インタビュー
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共産党の志位委員長は参院選(7月21日投開票)を前に、報道各社のインタビューに応じた。志位氏の発言の詳細は次の通り。
安倍政権終わらせる
――参院選の目標は。
党としては850万票を獲得し、比例選で7議席以上、選挙区選では現有3議席を絶対に確保したい。「安倍政権にサヨナラ」の審判を下し、国民の誰もが希望を持ち、安心して暮らせる日本に向け、大きな政治の切り替えを訴える。
野党全体で自民・公明とその補完勢力を少数に追い込み、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」を作る。それにより、政局の主導権を野党が握って、衆院解散・総選挙に持っていき、衆院でも多数を占めて野党連合政権を作る第一歩にしたい。
アベノミクス「家計冷え込んだ」
――安倍内閣の評価は。
アベノミクスで家計は冷え込み、実質賃金はマイナスだ。潤ったのは一部の富裕層と大企業だけで、格差と貧困がひどくなっている。そこに消費増税をかぶせようとしている。

対露、対米外交も破綻している。原発輸出も失敗した。内政も外交も行き詰まっている。
――年金問題については。
金融審議会の報告書の受け取りを拒否するのは、自分に都合の悪い事実は隠蔽(いんぺい)しようという言語道断の所業で、貧しい年金の現実が変わるわけではない。
国民にとっては「年金が先細りになってしまうのではないか」というのが一番の不安だ。(年金の給付伸び率を抑える)マクロ経済スライドを廃止して、7兆円の年金削減を許さず、「減らない年金」にする。7兆円の財源には、年金積立金などを充てる。
最低賃金「1500円」
――どう戦うか。
「くらしに希望を三つのプラン」で、〈1〉最低賃金の1500円への引き上げ〈2〉国民健康保険料の抜本的な値下げと減らない年金〈3〉大学の学費の段階的な無償化と義務教育の完全無償化――などを掲げた。財源の7・5兆円は、消費税に頼らず、大企業と富裕層に対する優遇税制の是正などで賄うことを提案している。
――安倍首相は憲法改正論議への姿勢を争点化している。
憲法を議論しない政党はない。本当の争点は、首相の9条改憲案の是非だ。どんな世論調査でも、国民が重視するのは社会保障や消費税など、暮らしの問題だ。国民が望まない時に、無理やり憲法審査会を動かして強引に国会発議するのは立憲主義に反する。
消費増税「全くの愚策」
――消費税については。
消費税という税制のあり方そのものに反対だ。逆進性という致命的な問題を持ち、所得の少ない方に重くのしかかる税金だからだ。10月の10%への引き上げは、これだけ景気が悪いのに増税をかぶせることになり、全くの愚策だ。暮らしも経済も壊す。
――1人区の目標は。
「全部勝つ」という以上のことは言わない。3年前と比べ、野党の協力が前進している。ぜひ実らせたい。
――共産党候補で野党候補を統一した福井では他党は推薦を出していない。
推薦するかしないかはテクニカルな問題だ。それぞれの選挙区にふさわしいやり方で、最大の応援態勢が出来ればいい。どんな形であれ、勝つための協力が進むことを強く願っている。
富裕層、大企業に負担増を

――他の野党との差別化は。
野党全体で掲げている13項目の共通政策を実行しようとした場合、例えば、暮らしの問題で言えば財源の問題にぶつかる。我々は消費税に頼らない別の道ということで、7・5兆円の財源案を示している。これは富裕層や大企業に応分の負担を求め、米軍への「思いやり予算」を廃止するなどの内容だが、我が党ならではの財源論だ。
――今回の参院選は関心がある人が少ない。
投票率は上がってほしい。これまで投票に行かなかった1000万、2000万人が投票所に足を運んだらいっぺんに全部変わる。投票率が上がるような戦いをやりたい。事実と論理に基づく批判は大事だが、日本をどうするかという希望を話さないと1票を投じて、政治を変えてみようとはならない。野党側が批判と同時に希望を語る。我々もその先頭に立ってやっていきたい。