[政策分析 参院選2019]<5>原発 進まぬ再稼働 火力頼み

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再稼働が進まない東京電力柏崎刈羽原子力発電所(4日、新潟県柏崎市で)
再稼働が進まない東京電力柏崎刈羽原子力発電所(4日、新潟県柏崎市で)

 7月3日夜、新潟県柏崎市内にある公共施設の一室。地元住民らでつくる「柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会」のメンバーから、東京電力に対する厳しい声が飛んだ。

 「再発防止策を徹底してほしい」

 新潟県の一部が震度6強の地震に見舞われた6月18日夜、東電は柏崎刈羽原発の地元自治体に対し、原発の一部に異常があると誤ったファクスを送信していた。この不手際について、メンバーは説明を求めた。

 地域の会は2003年に設立された。月に1度、原発賛成、反対にかかわらず15~20人程度が参加し、東電や政府との意見交換を続けている。「地元とのコミュニケーションの徹底」。これが住民らの切実な願いだ。

 柏崎市と刈羽村は原発7基を抱える。原発の誘致を決めた1969年以来、県内外から建設作業員が集まり、建設工事や飲食業など多くの雇用と繁栄をもたらした。しかし、福島第一原発事故以降は、7基とも停止している。和菓子店を営む男性(60)は「客足は全盛期から約3割減った」と地元経済の疲弊を嘆く。一方、原発による恩恵を放棄してでも再稼働に反対する声も根強い。

 立地自治体を二分する原発を巡る議論に対し、政府は「両論併記」の構えだ。発電コストの低さや環境性能の高さなどを理由に、原発を「基幹電源」と位置づけながら、太陽光など再生可能エネルギーを推進する施策も進める。2030年度には原発を上回る電源比率にまで高めることを目指す。

     ◇

 自民党は、政府目標に沿う形で、公約に「原子力規制委員会で規制基準に適合すれば、自治体の理解を得つつ再稼働を進める」と記した。公明党は「原発ゼロ」を目指すが、自民党と同様、再稼働には規制委の審査や地元理解を得て判断とうたっている。

 野党は、脱原発を基本路線としているが、各党で微妙な温度差もみられる。

 立憲民主党、共産党、社民党は既存原発の再稼働や新増設を一切認めず、「原発ゼロ社会」を前面に打ち出す方針だ。国民民主党は原発ゼロ社会を目指すとしながらも、再稼働については「地元合意を必須とする」と条件を付けた上で容認する姿勢だ。日本維新の会も再稼働は関係自治体の同意を法制化すべきだとし、強硬な脱原発からは距離を置く。

 震災前にあった原発全54基のうち、再稼働したのは西日本の9基のみだ。代替の火力発電の電力構成比は81%にまで増え、発電コストの上昇などで一般的な家庭の電気料金は、東電管内で約15%上昇した。

 どうやって、二酸化炭素の排出量を減らしながら電気を安定的に供給し、かつ電気料金も下げていくのか。各党には、こうした課題に答えるエネルギー政策の議論が求められる。

無断転載禁止
684280 0 参院選2019 2019/07/11 05:00:00 2019/09/19 15:41:41 再稼働が進まない東京電力柏崎刈羽原子力発電所(7月4日午後3時4分、新潟県柏崎市で)=畑仁優鋭撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190711-OYT1I50017-T.jpg?type=thumbnail

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