[New門]無用? 強い? 参院はつらいよ

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 3年に1度の参院選の投票日が迫ってきた。どの党に政権を任せるかを選ぶ衆院選と参院選は何が違うのか。参院が持つ特異性とは――。そんなことを意識しながら参院選に向き合うことで、私たちが何を選ぼうとしているのか、より理解しやすくなるかもしれない。

ダブル選 世界では「普通」

 今回は、衆院選と同日に参院選の投開票を行う「ダブル選」になるかどうかが注目を集めた。

 実は、世界の二院制では、ダブル選は珍しくない。例えば、いずれも二院制の先進7か国(G7)で、上下両院が直接選挙で選ばれる米国、日本、イタリア(一部例外あり)の3か国のうち、米国は2年ごと、イタリアは5年ごとに同時に選挙をしている。G7以外ではスペイン、チリも原則4年ごと、メキシコは6年周期でダブル選となる。効率的で選挙の頻度が減る効用があることは間違いない。

 ダブル選ではない国は、上院が直接選挙を採用していないことが多い。英国の上院は主に世襲貴族と国王が首相の助言に基づき選ぶ一代貴族(有識者ら)で構成され、フランスは下院議員や地方議員らが上院議員を選ぶ間接選挙だ。

 日本のダブル選は、1980年と86年の2度だけ。参院選は今回で25回目、戦後の衆院選は27回あったから、有権者が国政選挙のために投票所に足を運ぶのは50度目となる。およそ1年半ごとに国政選挙が行われては、政治は落ち着かない。

活動不足

 今回ダブル選論が浮上した背景には、参院選単独だと与党の議席が大きく減るのではとの懸念があった。

 もともと参院議員は日頃の地元での活動量が衆院議員に比べ少ない傾向がある。参院の選挙区が都道府県単位と広いため、きめ細かな活動がしにくく、任期6年で解散もないため、選挙に対する危機感が薄いからだとも言われる。衆参一緒なら、衆院選候補者に活動不足をカバーしてもらえるとの期待があった。

 元芸能人や元スポーツ選手ら「タレント候補」が多いのも参院選の特徴だ。比例選も全国単位と広く、候補者が有権者に接する選挙戦が難しい。政党名しか書けない衆院の比例選と違って、候補者名でも投票できるため、知名度がある候補が有利になりがちだ。

「コピー」でも「ねじれ」でも批判

 衆院に対するチェック機能が求められる参院は「良識の府」と呼ばれる。

 だが、現在の参院議員の多くは政党に所属し、衆院議員と同様に党の決定に縛られる。衆院の決定を追認する「衆院のカーボンコピー」とやゆされるゆえんだ。

 逆に、衆参の多数派が異なる「ねじれ国会」になると、参院の印象はがらりと変わる。自民党が大敗した2007年参院選から、09年の民主党政権誕生まで続いたねじれ国会では、08年3月に、日銀総裁の人事案が参院で否決された。「リーマン・ショック」前夜の世界的な金融不安のさなか、日本の中央銀行トップが、一時的とはいえ空席になるという緊急事態を生んだ。「強すぎる参院」により国会はしばしば混乱し、「決められない政治」への批判が強まった。

 出れば打たれ、出なければ無用論が飛び出す参院は、つらい存在だ。

 とはいえ、参院選も直接選挙ゆえ、各党の議席の増減は強いメッセージとなり、政権運営に影響を与える場合もある。参院選には、政権選択を行う衆院選と衆院選の中間で、与野党に点数をつける「中間選挙」の役割があると言えそうだ。

[DATA]二院制 世界の4割

 世界の議会を見渡すと、二院制は実は少数派だ。各国の議会が参加する「列国議会同盟」の2018年調査によると、193か国のうち二院制は79か国で、全体の4割程度だった。世界の二院制の中でも、衆参両院ともに「選挙区」と「比例選」というよく似た仕組みの選挙制度を持つ日本は、珍しい存在といえる。

 政治部 伊藤徹也 衆参両院での論戦や与野党の駆け引きを取材する国会担当のキャップ。

無断転載禁止
691168 0 参院選2019 2019/07/15 05:00:00 2019/09/19 15:41:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190714-OYT1I50053-T.jpg?type=thumbnail

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