[参院選2019 注目区を行く]<7>忖度VS落下傘 批判合戦…新潟

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 信濃川上流の山あいにある新潟県津南町を、大物政治家が訪れることはまれだ。副総理兼財務相の麻生太郎(78)は13日午後、苦境の「子分」のために一肌脱ごうと同町役場の駐車場に立ち、こう聴衆に頼み込んだ。

 「言いたいことはいっぱいあるだろうけど、100%完璧な人間はおらんから。そこは勘弁してもらおう」

 新潟選挙区の自民党公認、塚田一郎(55)はかつて麻生の秘書だった。麻生に続いてマイクを握ると、「大変皆さまにご心配、ご迷惑をおかけいたしましたことを改めておわびを申し上げさせていただきます」と語り、深々と頭を下げた。

 「楽勝」(県連幹部)と目された選挙情勢は4月、国土交通副大臣だった塚田の失言で一変した。山口、福岡両県を結ぶ道路の調査費計上について、首相の安倍晋三(64)と麻生の意向を「忖度そんたくした」と口を滑らし、4日後に辞任に追い込まれた。

 森友・加計学園問題で苦しんだ安倍政権にとって、「忖度」は禁句だった。4月の衆院大阪12区と沖縄3区の両補欠選挙で自民が敗北すると、塚田は「戦犯」のそしりを受けた。

 安倍は、自身が第1次内閣を退陣した直後の体験談を人づてに塚田に伝えた。

 「はいつくばって地元を回り、小さな集会を繰り返した。(2009年衆院選では)逆風のはずが驚くような票で勝ったんだ」

 塚田は頭を丸め、約3か月の「おわび行脚」に臨み、100超の県内支部をほとんど訪れた。それでもある自民県議は「4月の県議選でも失言が直撃して苦しんだ。塚田のために本気にはなれない」と突き放す。

 悪い材料ばかりではない。民主党政権で政務官を務めた衆院議員、鷲尾英一郎(42)(新潟2区)が3月に自民入りした。鷲尾は2万人近い個人後援会を持ち、連合新潟との関係も良好で、野党票切り崩しの期待がかかる。

 「移籍組」の鷲尾にとっては格好のアピールの場だ。新潟2区では、17年衆院選で鷲尾が勝利した自民衆院議員の細田健一(55)(比例北陸信越)との公認争いが待ち受ける。2日には塚田の妻を伴い、燕市の金物や洋食器の町工場を回り、「塚田さんにいろいろな感情をお持ちかと思うが、どうか今回は当選させていただきたい」と頭を下げた。

 新潟では16年参院選と県知事選で野党系候補が勝利し、17年衆院選でも県内6小選挙区のうち4選挙区を野党側が制した。18年は与党が県知事選と新潟市長選で連勝しただけに、野党は流れを引き戻そうと敵失を攻め立てている。

 「上ばかり見る忖度政治ではなく、誰一人取り残さない政治を始めていきたい」

 野党統一候補で無所属の打越さく良(51)は13日、長岡市の繁華街で演説し、声を張り上げた。応援に立った立憲民主党会派で衆院議員の菊田真紀子(49)が塚田を「忖度くん」と皮肉れば、国民民主党参院議員の森裕子(63)も「忖度政治は終わらせよう」と繰り返した。

 ただ、打越にも弱みがある。北海道出身で新潟には地縁・血縁のない「落下傘候補」という点だ。選考では国民などから懸念が出たが、立民が弁護士としての実績を評価して押し切った。

 打越は街頭で「新潟県弁護士会に登録替えができた。正真正銘の新潟県人です」と説明するが、塚田陣営は「新潟を知らない候補」とやゆする。安倍も16日、上越市の街頭演説で「(打越は)東京で弁護士をやっていた人。おそらく、落選すればただちに東京に帰るんでしょう」と語気を強めた。

 野党系衆院議員はこうつぶやく。「『忖度』対『落下傘』の戦いだ。お互いに急所を攻撃し合っている」(敬称略)

■新潟(改選定数1)

 打越さく良 51 無新〈立〉〈国〉〈共〉〈社〉

 塚田 一郎 55 自現《2》〈公〉

 小島 糾史 43 諸新

 (敬称略、届け出順、年齢は投票日現在、〈〉は推薦・支持政党)

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693841 0 参院選2019 2019/07/17 05:00:00 2019/09/19 15:41:07 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190716-OYT1I50103-T.jpg?type=thumbnail

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