[参院選 現場から]<5>人手不足「会社もたぬ」…特定技能 期待と不安

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建設工事現場で作業する現場所長の井山さん(左から2人目)ら工事関係者(10日、東京都豊島区で)
建設工事現場で作業する現場所長の井山さん(左から2人目)ら工事関係者(10日、東京都豊島区で)

 「工期が守れるか、いつもストレスで胃が痛い」

 東京都内のマンション建設現場で、建設会社「渡辺建設」(豊島区)の現場所長・井山浩孝さん(58)は汗を拭った。「職人が足りず、現場から下請け会社に電話でお願いして全て断られたこともある」。表情は厳しい。

 職人不足は工期の遅れに直結する。2017年から東京五輪関連の建設ラッシュで鉄筋・型枠工事を担う職人確保が難しくなり、工期が約1か月遅れたことが何度もあった。

 同社は社員37人の中小企業。今後5年で約10人が定年だが、過去5年の新入社員は5人程度しかいない。渡辺裕之社長(57)は「このままでは事業が成り立たなくなる。あらゆる面で人手不足だ」と嘆く。

 中小企業庁によると、18年の全国倒産件数は28年ぶりの低水準だった。政府はアベノミクスの効果を強調する。だが、民間信用調査会社「東京商工リサーチ」によると、18年に人手不足関連の倒産は387件で、13年の調査開始以降最多を記録した。19年上半期も191件で上半期として過去最多だった。このうち倒産理由の内訳では後継者難が109件で最多だが、働き手が集まらない求人難が47件で昨年より約2・4倍に急増した。

     ◇

 様々な業界で深刻化する人手不足。国は解消策として外国人に目を付けた。

 今年4月、外国人労働者の受け入れを拡大する新たな在留資格「特定技能」を創設した。介護、建設業など14業種が対象で、外国人は技能試験と日本語能力試験に合格すれば取得できる。技能実習の在留期間は最長5年。特定技能だとさらに5年で、計10年間日本で働ける。約3年の技能実習経験があれば、無試験で特定技能への移行も可能だ。

     ◇

 「ハローワークに求人を出しても応募はない。実習生なしに会社は成り立たない」

 青森県おいらせ町の農業生産法人「柏崎青果」社長の柏崎進一さん(71)は明かす。地元産の長芋やニンニクなどの生産から流通まで手がけ、20年前から中国人技能実習生を受け入れている。従業員85人のうち23人が30~40歳代の中国人技能実習生の女性だ。

 特定技能について柏崎さんは「長く働いてもらえれば、単純作業だけでなく機械を使った難しい仕事も任せられる」と歓迎する。

 ただ、複雑な思いもある。技能実習生は原則、一定期間は転職できないが、特定技能は同じ職種なら可能だ。会社の実習生に特定技能の人はまだいないが、地方は賃金が安い。「特定技能で採用しても賃金の高い都市部に行ってしまうのでは」との不安が消えない。

 国は特定技能の外国人の大都市圏集中を防ぐ措置を取るとし、参院選で各党も「地方の人材確保」などと公約でうたうが、実効的な方策はまだみえない。柏崎さんは「政治には、地方の人手不足の解消につながるような制度設計にしてほしい」と訴える。

無断転載禁止
693986 0 参院選2019 2019/07/17 05:00:00 2019/09/19 15:41:10 参院選関連課題連載「人手不足」工事現場で作業する関係者たち(7月10日、東京都豊島区で)=宮崎真撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190717-OYT1I50029-T.jpg?type=thumbnail

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