[参院選 現場から]<6>過疎化「助け合い限界」…住民がバス運行、移動販売

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NPO法人が運行するバスを利用する高齢者(富山県氷見市で)
NPO法人が運行するバスを利用する高齢者(富山県氷見市で)

 富山県氷見市の金沢医科大学氷見市民病院の正面ロータリーにマイクロバスが到着した。通院などで月2回ほど利用する同市柿谷、干場ほしば愛子さん(85)は「家族に送ってもらわずに済む。助かるわ」と笑顔で話した。

 氷見市内には医療機関が約30か所あり、7割が人口の多い中心部に集中。訪問診療を行う病院もあるが、周辺部の住民は車を使わないと治療が受けにくい。

 このバスは石川県境にある中山間部と中心部を結ぶ約30キロの区間を走る。人口減少で民間の路線バスが昨年3月に廃止されたため、地元住民で作るNPO法人「上庄谷地域協議会」が同10月末に運行を始めた。

 平日4往復、土曜2往復で運行。通院、通学、買い物など「日常の足」として活躍している。

 この法人は市内で3路線を運行する。運営は市の補助金に加え、定期券代などの運賃収入で補うほか、これとは別に、対象地域の1900世帯が1世帯あたり年2000円の会費を支払い、地域で公共交通機関を支える。江渕兵一理事長(67)は「交通手段がなくなれば、地域は衰退する一方だ。バスを維持せねばならない」と訴える。

     ◇

 「車が運転できず、買い物に行けない。今後も続けてほしい」。過疎が進む浜松市天竜区でNPO法人「まちづくりネットワークWILL」の移動販売サービスを利用する当道とうどう文吉さん(96)の切なる願いだ。

 当道さんは独り暮らし。集落にあった商店は閉店し、今はバスで最寄りのスーパーに行くのに40分ほどかかる。県外に住む長男が定期的に届ける食料品の足りない分を移動販売で補っている。

 同区にあるこの法人は2016年に移動販売を始めた。理事長の平沢文江さん(53)が仕入れたお菓子や飲料、レトルト食材などを車に積み、近くにスーパーがない同区の2か所で毎週金曜日に販売を行っている。1日の利用者は10人前後だ。道路事情の悪さから大雨の時は遠回りすることもあるため、ガソリン代がかさみ、利益は出ないという。

 区域の9割を山林が占める浜松市天竜区の人口は2万8581人(19年4月現在)で、10年で約7000人減った。65歳以上の割合を示す高齢化率は09年から7ポイント増え44%に達した。

 平沢さんは「行政は『共助』と言って住民同士の助け合いを強調するが限界がある。やればやるほど赤字だけど、それでも続けるしかない」と決意を語った。

     ◇

 国が15年度に行った調査では、回答した全国の過疎地域の795市町村にある6万1919集落のうち、1万1189(18%)が「集落の機能が低下している」「維持が困難」と報告。商店・スーパーなどの閉鎖や公共交通の利便性の低下が問題化しており、地域住民は集落を維持するため、奮闘している。

 明治大の小田切徳美教授(農村政策論)は「過疎対策は、積極的な地域と新しい動きが見られない地域に二極化している。自治体は住民とともに地域性に合わせた活性化策を探ってほしい。また、国にも、各地の自発的なアイデアを支援する政策が求められる」と話している。

無断転載禁止
695944 0 参院選2019 2019/07/18 05:00:00 2019/09/19 15:41:05 NPO法人が運行するバスを、通院のために利用する高齢者(12日、富山県氷見市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190718-OYT1I50013-T.jpg?type=thumbnail

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