[政策分析 参院選2019]<9>憲法…自衛隊明記 各党で温度差

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「く」の字に曲がった航空自衛隊百里基地の誘導路(13日、茨城県小美玉市で、本社ヘリから)=冨田大介撮影
「く」の字に曲がった航空自衛隊百里基地の誘導路(13日、茨城県小美玉市で、本社ヘリから)=冨田大介撮影

 中国・春秋航空の旅客機が滑走路に滑り込んで間もなく、日の丸が描かれた戦闘機3機が隣の滑走路から次々と飛び立ち、白い雲の中に消えていった。

 7月12日昼、茨城県小美玉おみたま市。茨城空港と共用の航空自衛隊百里ひゃくり基地は約1800人の隊員が所属し、首都圏の防空を担っている。

 戦闘機が通った誘導路は、国が一部の用地を買収できず、「く」の字に曲がっている。敷地脇の丘には「自衛隊は憲法違反」と書かれた看板が立っている。かつて、全国的な広がりを見せた基地反対運動の象徴だ。

 運動は百里基地訴訟に発展し、自衛隊の合憲性が争われた。訴訟は1989年、最高裁が国側勝訴の判決を出して終結したが、自衛隊が合憲か違憲かの判断は示されなかった。

 当時、反対派住民を束ねたのは旧小川町長の山西きよさんだった。その孫、弘一郎さん(51)は小美玉市内で肥料会社を営む傍ら、基地との「共存共栄」に取り組んでいる。

 市が2007年に発足させた茨城空港の利用促進協議会に当初から加わり、基地幹部らとともに地域振興策などを話し合っている。先月21日の会合では「基地周辺を使ってマラソン大会を開けないか」などと提案した。

 弘一郎さんは語る。

 「我々は自衛隊員の子どもと一緒に小学校に通い、遊んできた。自衛隊は地域で一番大きな『企業』だ。周りに住んでいる人の多くは、自衛隊を『合憲か違憲か』では捉えていない」

          ◇

 憲法論議では、自衛隊を憲法に明記する自民党の改正案に対し、野党の多くが批判を強めている。

 自民党が目指すのは、自衛隊違憲論の解消だ。安倍首相(党総裁)は「憲法にしっかりと『自衛隊』と明記し、違憲論争に終止符を打つ」と訴えている。日本維新の会の松井代表は「正面から議論する」と検討する意向を示している。

 公明党は慎重な議論を求めている。公約では「多くの国民は自衛隊の活動を理解し、支持しており、違憲の存在とは考えていない」と指摘した。

 維新を除く野党各党はいずれも反対しているが、主張には温度差がある。

 国民民主党は公約に「国が自衛権を行使できる限界を曖昧にしたまま、自衛隊を明記すべきではない」と明記。玉木代表は「議論の中で問題点を指摘していきたい」と意欲を示している。

 一方、立憲民主党は「憲法違反の安全保障法制を憲法に適合した形に戻さないと議論のしようがない」(枝野代表)と反発している。安保法制で集団的自衛権の限定的な行使が可能になったことを問題視しているためだ。社民党も公約で「安倍政権は『戦争できる国』を完成させようとしている」と批判している。

 共産党は公約で「自衛隊が憲法違反であることは明瞭だ」という立場を示し、自衛隊明記案にも強く反対している。(おわり)

 【百里基地訴訟】 百里基地用地の売買契約を巡る訴訟。1958年から31年間続いた。基地反対派住民側は「自衛隊は憲法9条に違反する。従って自衛隊の基地を造るための土地売買契約は違憲・無効だ」と主張した。これに対し、最高裁は判決で、国が私人と対等の立場で結んだ私法上の契約は「憲法9条の直接適用を受けず、私法の適用を受けるにすぎない」として住民側の上告を棄却した。

無断転載禁止
697836 0 参院選2019 2019/07/19 05:00:00 2019/09/19 15:44:17 防衛省に売ることを拒んだ農民らの「一坪運動」によって、くの字に曲がった航空自衛隊百里基地の誘導路(13日、茨城県小美玉市で、本社ヘリから)=冨田大介撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190719-OYT1I50014-T.jpg?type=thumbnail

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