[参院選 現場から]<7>コメ・花 輸出に活路…「品質に自信」国のPR期待

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倉庫に保管されている環境保全米(宮城県登米市で)
倉庫に保管されている環境保全米(宮城県登米市で)

 「味はもちろん、安心と安全が売りだよ」。見渡す限りの水田を前に、生産者の千葉盛悦さん(64)は胸を張った。全国有数のコメどころ宮城県登米とめ市。水田に植えられているのは、県の主力品種「ひとめぼれ」を農薬や化学肥料の使用量を通常の半分以下に抑えて育てた「環境保全米」だ。

 JAみやぎ登米は、2003年から付加価値の高い環境保全米の栽培を組合員に推奨している。今では同JAが取り扱うコメ約3万5000トンの8割を占め、評判は上々だ。

 国内市場が縮小する危機感から、同JAは18年に輸出に乗り出し、938トンを米国や豪州、香港などに送り込んだ。ただ、本格的な輸出拡大を考えた際、改めて農家の高齢化や人不足の問題が浮き彫りになった。

 環境保全米は農薬などの使用量が少なく、除草や害虫駆除などの手間がかかる。千葉さんは「他のコメとの価格差はそれほどないのに。農家は大変だ」とぼやいた。

 手間を増やさずに輸出を増やす一つの答えとして、同JAは19年産米から、ひとめぼれより10%程度収量が多く、味も良い品種「つきあかり」の栽培を増やした。18年産の2倍、約1800トンの輸出を目指す。

 収量の多いコメの栽培は生産性の向上につながる。全国のコメどころでこうした動きが出てきている。

 18年産の「あきたこまち」10トンを昨年秋、ドイツと香港へ初めて輸出した有限会社「アグリ川田」(秋田県大館市)。川田将平社長(38)は「今年産米は輸出を2倍にする」と意気込む。

 海外市場での競争を意識し、「コスト削減で経営基盤を強くし、コメの安定供給につなげる」狙いで、あきたこまちよりも多くの収量が見込める「つきあかり」や「ちほみのり」などの試験栽培に取り組んでいる。

        ◇

 商品作物でも輸出への期待が高まる。「国内需要が減る中、海外に目を向けるしかない」と言うのは愛知県田原市でスイートピーとヒマワリを生産する「渥美小川花園」代表の小川敦史さん(45)だ。花の品質には自信があるが「個々の農家が直接、海外に売り込むのは難しい。『輸出促進』と言うだけでなく、もっと国が主体となり、海外へのPRを進めてほしい」と訴える。

 国内有数の卸売市場「愛知豊明花き地方卸売市場」(愛知県豊明市)を運営する「豊明花き」の輸出担当者は「環太平洋経済連携協定(TPP)による関税撤廃は、花卉かき業界にとって一つのチャンス」と話し、「品質の良い日本の花の流通が進み、海外の購入者が増えるのでは」と期待する。

 ただ、輸出では、各国の検疫をクリアするなどの課題がある。「検疫の問題は一企業でどうにかできるものではない。検疫のハードルを下げられないか国同士で話し合いを進めるなど、輸出拡大に有効な対策を考えてほしい」と訴える。

 日本の農林水産物・食品の輸出額は18年に9000億円を超え、「19年に1兆円」という国の目標達成も近づく。人口が減り続ける中で地方が活力を維持するためにも、農産物などの輸出をさらに進める必要がある。

 キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「輸出の増加で農家の収益が向上すれば、後継者不足も解消される。外国との品質の違いが双方向の貿易を生み出す。この違いを生かして輸出の商機につなげるべきだ」と話している。

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697839 0 参院選2019 2019/07/19 05:00:00 2019/09/19 15:44:17 倉庫で保管している環境保全米を容器で示す岩渕幸二さん(12日、登米市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190719-OYT1I50015-T.jpg?type=thumbnail

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