拝啓 有権者の皆さんへ あえて「青い鳥」求めず…特別編集委員 橋本五郎

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 明日の参院選の投票日を前に、気がかりな、いくつかの数字があります。各党の獲得議席がどうなるかはもちろん最大の注目点ですが、参院選での投票率が回を重ねるごとに下がっているのです。

 1992年以降、60%を割り込むことが常態化し、6年前は52・6%、3年前は54・7%に落ち込んでいます。加えて「18歳選挙権」が導入されて2回目となる参院選に18、19歳で「関心がある」と答えた人が、読売新聞調査では前回の67%から45%に大幅に減っています。

 投票率低下の要因のひとつに参院の存在理由への懐疑があるとすれば、それは誤解です。確かに参院に対してはかねて厳しい批判があります。衆院と同じことをやっていていいのかという「カーボンコピー論」、なくても困らないという「盲腸論」など無用論が根強くあります。

 しかし、日本の参院は諸外国の第二院と比べ強すぎるぐらいです。法律案は参院で否決されれば、衆院で再可決するには3分の2の賛成が必要です。政府の人事案件は参院の反対だけで阻止できます。

 竹中治堅さんの『参議院とは何か』(中公叢書)は歴代首相がいかに参院対策に腐心してきたかを描いています。参院がどのような構成になるかは日本政治にとって極めて重要なのです。皆さんの投票がそれを決めるのです。

 「政権選択選挙」である衆院選に対し、参院選は「中間選挙」と呼ばれます。衆院選で選ばれた政権への評価の機会なのです。まず問われるべきは安倍政権です。

 与党が言うようにアベノミクスで経済は格段に良くなったのか。それとも野党の主張のように格差はむしろ広がったのか。年金問題はじめ社会保障の将来への懸念は払拭ふっしょくされているのか。トランプ米大統領に象徴される保護主義、「自国第一主義」の高まりに対応できているのか。論点はいくらでもあります。

 投票にあたっては、過去の評価だけではなく、各党がこれからどうするのかも見なければなりません。憲法改正や社会保障における給付と負担をはじめ中長期的な課題に各党がどう考えているか、公約を点検する必要があります。

 気をつけるべきは、公約はいいことずくめであることです。各党とも教育や社会保障で「無償化」を掲げていますが、きちんと財源を示した上でのものなのか。あえて国民に痛みを求めることも辞さない覚悟が見えるかなど、「本気度」を測る尺度はいくらでもあります。

 政治家の「劣化」が指摘されています。候補者の選定は一義的には政党が責任を持つべきですが、私たち有権者も問われています。とはいっても候補者の私生活から人格まで十分知ることは困難です。SNSをひとつの手段として活用するのも必要かもしれません。少なくとも学歴や知名度などで判断することには慎重であるべきです。

 選挙のたびに強調していることがあります。福沢諭吉の「政治とは悪さ加減の選択」ということです。政党や候補者に「ベスト」を求めても「青い鳥」になりかねません。誰にも期待できない、だから投票に行かないという虚無感に襲われてしまいます。各党の政策や候補者を比較し、どちらが悪くないかという「めた目」が必要だと思うのです。

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699720 0 参院選2019 2019/07/20 05:00:00 2019/09/19 15:44:11

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