[スキャナー]焦点の議席数、定数245…参院選

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 21日に投開票される参院選の結果は、その後の日本政治の行方を左右する。自民、公明の議席数次第では、与党内の力学や、安倍首相の持論である憲法改正の議論に影響を与える可能性がある。野党各党の浮沈は、共闘の在り方を巡る論争に直結しそうだ。指標となる数字を点検した。(政治部 土居宏之、山口真史)

 

63議席 自公が改選過半数を獲得

 参院選の勝敗の大きな目安は、非改選議員を合わせて与党が過半数を維持できるかどうかだ。「非改選を含む与党過半数」は、参院で野党が多数派を握る「ねじれ」が生じないことを意味し、政府提出法案が参院で否決される可能性は、ほぼなくなる。

 今回の参院選で改選定数は3増え、選挙後の参院定数は245になる。過半数は123だ。自公両党の非改選議席は計70(自民56、公明14)なので、達成には今回選挙で計53議席必要になる。首相はこれを「勝敗ライン」に据えてきた。

 次の目安は、今回の参院選の改選定数(124)で見た時、与党が過半数の63議席を獲得できるかどうかだ。首相の基準より10議席ハードルは高いが、自民党の二階幹事長や岸田政調会長はこれを勝敗ラインに位置づけており、「63の方が重要な物差しだ」(党幹部)と見る向きが多い。これをクリアすれば、首相と距離を置く与党議員も政権運営を批判しにくくなり、首相は求心力を維持できる見通しだ。

 参院選では、消費増税が争点の一つとなり、野党は反対で足並みをそろえた。首相は参院選で一定の信任を得たと判断した場合、現行の税率8%を、予定通り10月1日に10%へと引き上げる意向だ。

 

67議席 下回れば自民過半数割れ

 自民党の公示前勢力は122人(改選66人、非改選56人)で、公明党の議席数を足し合わせなくても、参院定数242の過半数である122に達していた。参院事務局によると、自民党の単独過半数は2016年7月以来、続いてきた。

 自民党が今回、公明党抜きで67議席に届かなければ、参院での単独過半数を3年ぶりに失うことになる。連立を組む公明党の存在感が増し、政府・自民党が法案の作成や国会運営などを巡り、公明党に配慮する場面が増えそうだ。公明党にとっては「独自色を発揮できる好機」(党関係者)ともなる。

 

85議席 与党・改憲勢力「3分の2」

 参院選後、憲法改正の国会発議に必要な「参院定数の3分の2」は164議席となる。自公両党と憲法改正に前向きな日本維新の会、無所属議員を含む勢力は参院選前、衆参両院で3分の2を確保してきたが、今回の参院選でどうなるかも焦点だ。

 与党と改憲勢力の非改選議席は、無所属の3議員を含めると計79。「3分の2」を維持するには、今回の参院選で計85議席が必要となる。首相は衆参両院の憲法審査会での議論のあり方にたびたび不満を表明し、参院選でも争点化を図った。20日の秋田市での街頭演説では「しっかりと議論をする候補者を選ぶか、審議すらしない勢力に1票を入れるのか、それを決める選挙だ」と訴えた。与党と改憲勢力で85議席を下回った場合、議論の前進には他党の協力が必要になる。「首相は野党の中で改憲論議に比較的前向きな国民民主党に対し、協力を持ちかけるのではないか」(自民党関係者)との見方が出ている。

 

1人区11…与野党の勝敗ライン

 全国32の1人区(改選定数1)では与野党の事実上の一騎打ちとなり、激戦が繰り広げられてきた。与野党はともに、1人区の勝敗ラインを「11」だとしている。前回2016年参院選の1人区の結果が、与党から見れば「11敗」、野党から見れば「11勝」だったためだ。

 自民党は16年に落とした青森、山梨、大分など11選挙区を激戦区に指定。前回は議席を死守したものの今回も接戦が見込まれる秋田、滋賀など5選挙区を同等の扱いとした。首相が選挙戦中盤の7月13日に続き再び秋田を訪れた理由は、ここにあった。

 立憲民主、国民民主、共産、社民の4野党は今回、1人区の全32選挙区で候補者を一本化し、共闘態勢を築いた。20日は国民の玉木代表が滋賀、社民の吉川幹事長が大分と宮崎に入り、それぞれテコ入れを図った。

 読売新聞社の中盤情勢調査(7月12~14日)では、野党統一候補が先行または競り合う選挙区が計10あった。野党が「11勝」に届くかどうかは、次期衆院選に向けて野党共闘を続けるか、見直すかの分かれ目になる可能性もある。

 第1次安倍内閣下の07年参院選では、自民党が1人区で6勝23敗と大きく負け越し、全体でも惨敗した。13年は自民党が29勝2敗と圧倒し、圧勝の原動力となった。

 

女性候補29人…当選なら過去最多

 今回の参院選には女性104人が立候補した。全候補者に占める割合は28.1%と、01年の27.6%を上回り、過去最高を更新した。女性の当選者が参院選で過去最高の28人(2016年)を上回るかどうかも注目される。

 女性候補が29人以上当選すれば、当選者全体に占める女性の割合は過去最高だった16年の23.1%を上回る。女性候補は共産22人、立民19人など野党に多い。

 

舌戦「年金」「増税」に重点…「改憲」論議深まらず

 参院選では、老後の生活に約2000万円が必要だとした金融審議会(首相の諮問機関)の報告書に端を発した年金問題、10月に予定される消費税率10%への引き上げや憲法改正が争点となった。

 不安解消に躍起

 「強い経済を作っていけば、年金の基盤もしっかりと強くしていくことができる」。安倍首相(自民党総裁)は20日、埼玉県川口市での街頭演説でこう述べ、2012年に政権を奪還して以降6年半の経済成長に触れ、現行の年金制度が持続可能だと強調した。

 首相は演説などで年金問題についての説明に多くの時間を割き、金融審議会の報告書を機に広がった老後不安の払拭に努めた。低所得の年金生活者に最大年6万円を支給する制度が10月に始まることもアピールした。

 改選定数1の「1人区」で共闘する立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党は「消えた年金問題」で与党を大敗に追い込んだ07年参院選の再現を狙い、対決姿勢を鮮明にした。

 立民の枝野代表は20日、東京都港区での街頭演説で07年参院選に触れ、「野党に『国会でしっかりと審議しろ』『情報を隠さず、全部資料を出せ』と迫れる力を与えていただいたから、消された年金を取り戻すことができた」と強調した。

 「反対」で野党共闘

 自民、公明両党は今回の参院選で、首相が過去に2度延期した消費税率引き上げを掲げて戦った。今年度政府予算に2兆円規模の増税対策を盛り込み、幼児教育・保育の無償化に増収分が充てられることなどをアピールした。

 公明の山口代表は19日、川崎市幸区での演説で「景気が吹っ飛んだら元も子もない。プレミアム付き商品券を利用いただけるようにする」と語り、税率引き上げに理解を求めた。

 野党は、4党による共闘と一線を画す日本維新の会も含め、消費税率引き上げに「反対」で足並みをそろえた。国民の玉木代表は11日、静岡県富士宮市での個人演説会で「10月に消費税を上げたら、日本経済は必ず悪くなる」と述べ、増税反対を主張した。共産党の志位委員長は19日に千葉市中央区での演説で「増税したら暮らしも経済も底が抜けてしまう」と述べ、増税中止を求めた。

 首相訴え

 首相は各地での街頭演説で、憲法改正に関連し、論議を進める必要性を繰り返し訴えた。目標とする20年の改正憲法施行に向け、足踏み状態が続く国会論議を前進させる狙いからだ。これに対し、共産、社民両党は選挙戦で改憲への反対を繰り返し表明したが、その他の野党はほとんど触れず、議論は深まらなかった。

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701061 0 参院選2019 2019/07/21 05:00:00 2019/09/19 15:44:04 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190720-OYT1I50084-T.jpg?type=thumbnail

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