[スキャナー]改憲発議 4議席の壁…参院 3分の2届かず

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記者会見する安倍首相(22日午後、自民党本部で)=米山要撮影
記者会見する安倍首相(22日午後、自民党本部で)=米山要撮影

首相、「国民」の協力狙う…公明は慎重姿勢 温度差

 参院選で、与党と改憲に前向きな日本維新の会などを含めた勢力は国会発議に必要な3分の2(164)に4議席及ばなかった。安倍首相(自民党総裁)は悲願の改憲実現に向け、国民民主党などを巻き込み、国会での議論を前進させたい考えだ。(政治部 工藤淳、深沢亮爾)

アクセル

 「少なくとも議論は行うべきだというのが国民の審判だ。野党には、この民意を正面から受け止めていただきたい」

 安倍首相は22日の記者会見で、強い口調で野党に改憲論議の促進を迫った。さらに、自民党が「強いリーダーシップ」を発揮して憲法改正案作りを主導すると宣言した。

 首相は停滞する国会論議に風穴を開けるため、「憲法を議論する党を選ぶのか、しない党を選ぶのか」と選挙戦で繰り返し訴えた。自民、公明両党で改選過半数を獲得したことで、首相は改憲に向けて一気にアクセルを踏んだ。

選挙前に接触

 だが、改憲実現への道のりはなお険しい。

 公明は改憲には一貫して消極的だ。山口代表は22日のテレビ番組で、「この結果を『憲法改正について議論すべきだ』と受け取るのは、少し強引だ」と述べ、首相の解釈を真っ向から否定した。

 実際、読売新聞社と日本テレビ系列各局が実施した参院選の出口調査では、投票の際に重視した政策は「社会保障」が30%でトップで、「憲法改正」は8%にとどまった。参院選の結果を背景に自民が国会論議を強引に進めれば、公明が待ったをかける場面もありそうだ。

 3分の2を確保するため、自民が熱い視線を向けるのが国民民主党だ。首相は22日の記者会見でも、「国民民主党に『議論すべきだ』と考えている方々がたくさんいる。そうした皆さんとも積極的な議論を展開していくべきだ」と述べた。

 国民の参院での新勢力は21人で、協力を得られれば3分の2は優にクリアできる。自民幹部は「党全体は無理でも一部を取り込めれば」と期待する。首相に近いベテラン議員は、参院選前から水面下で国民議員に接触を図っている。

期限先延ばし

 自民は秋の臨時国会中に、具体的な改憲案を巡る自由討議までこぎ着ける道筋を描く。首相は記者会見で「私たちの案だけにとらわれることなく、柔軟な議論を行っていく」とも述べ、野党側に議論への参加を呼びかけた。

 自民改憲案の提示には野党の反発が強いため、国民が重視する「内閣の衆院解散権の制約」や「知る権利」の論議を先行させることも検討する構えだ。

 参院選前は3分の2を確保していたが、議論は一向に進まなかった。自民党の下村博文・憲法改正推進本部長は22日夜のBS11の番組で「野党は(与党と改憲勢力が)3分の2を持っていることを相当警戒していたが、今後は一気に行かないということで、議論が円滑に進む可能性がある」と述べた。

 首相は21日のテレビ番組で、憲法改正について「私の任期中に何とか実現したい」と述べ、党総裁任期である2021年9月までの実現を目指す考えを示した。「20年新憲法施行」のタイムリミットが迫る中、事実上、目標時期を先送りした。

 それでも残された期間は約2年。政府・与党には、足踏み状態が続けば「首相は温存した衆院解散カードを切る」(閣僚経験者)との見方がくすぶっている。

自衛隊明記 他党は拒否感…自民条文案

 自民党は、〈1〉自衛隊の根拠規定の明記〈2〉緊急事態対応〈3〉参院選の合区解消〈4〉教育の充実――の4項目による改憲条文案をまとめている。

 このうち、安倍首相がこだわりを見せる憲法9条への自衛隊明記は、他党の拒否感が強い。「加憲」を主張する公明党も、「自衛隊はほとんどの国民が容認しており、あえて(憲法に)書く意味があるのか議論を尽くす必要がある」(山口代表)と慎重な立場を崩していない。

 野党側では、立憲民主、共産、社民の3党が参院選公約で、自衛隊の9条明記に反対の姿勢を示した。立民の福山幹事長は22日、国会内で記者団に「自民党の4項目の改憲案について、大きな支持が得られたとはこの(参院)選挙では全く思っていない」と述べた。

 首相が秋波を送る国民民主党は、「自衛権行使の限界を曖昧にしたまま明記すべきではない」との主張だ。玉木代表は22日、「今の4項目、とりわけ9条改憲は何度も国会で取り上げたが問題がある」と強調した。ただ、国民は改憲論議自体には前向きだ。

 一方、野党共闘とは一線を画す日本維新の会は「自衛隊の明記は国民の関心が高いので、詰めた議論をしたい」(馬場幹事長)としている。維新は、改憲項目として、〈1〉教育無償化〈2〉憲法裁判所設置〈3〉統治機構改革――の三つを訴えている。松井代表は、この中では、教育無償化の優先順位が高いとの認識を示している。

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703404 0 参院選2019 2019/07/23 05:00:00 2019/09/19 15:45:43 参院選から一夜明け、報道陣の前で記者会見する安倍首相(22日午後2時12分、自民党本部で)=米山要撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190722-OYT1I50112-T.jpg?type=thumbnail

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